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「…せッ!…せッ!…せッ!」 暗闇の中円周上に配置された篝火の光の中心には四方を杭に結わえ付けられたロープで囲まれた空間だけが浮かぶ 周囲をぼうっと篝火に照らされる空間を熱狂しながら凝視する人間の顔だけが浮き上がらっせ、その光景は太古の神を祀る儀式を思わせる 「殺せッ!殺せッ!殺せッ!」 老いも若きも男も女もが狂ったように同じ言葉を繰り返す 人々の視線の先には互いの肉を食み、血を啜り合いながら殺しあう2匹の獣 …ならぬゆっくりの姿があった 里の野外に特設された即席のリングの中には1匹のゆっくりまりさとゆっくりフランが向かい合っている ゆっくりまりさは目と口の部分に穴が開いた底部以外顔全体を覆う派手なマスクを被っており、 そのマスクのそこらかしこはフランに切り裂かれたのか無残にも体までにもその裂傷は達して致命傷ではない物の餡がポタリポタリと垂れて 大きくその体を伸縮させて息をついている 方やゆっくりフランは素顔で、顔に自分の傷から漏れた餡とまりさの餡で汚れながらも、 その目には狂気の色が宿り口を大きく開いてこびりつく餡をなめると笑みを浮かべた ルチャゆっくり 最近考案されたゆっくりを使った娯楽のひとつ、早い話がゆっくりを使った賭け格闘技である。 リングで戦うゆっくりはゆっくりドールと呼ばれ相手が戦意を失うか・気絶するまで行われる… しかしゆっくりは本来温厚で臆病な性格なので捕食種を除け自発的に戦うことはない だが、彼らやその親しい者の危機には勇敢に立ち向かうケースもある その事から人間が野生の比較的体格がいいゆっくりを見つけると家族や親友を攫いそれを人質として戦いに赴かせるのである 場合によっては無理やり子供を孕ませてそれを利用する 負けたり・無様な試合をすれば人質の命は主人の気分ひとつ次第 故に戦うゆっくり達に躊躇いはない ……常にガチ勝負且つゆっくり特有の肉体の脆弱さもあいまって死者は耐える事はない 死の恐怖に抗い勝ち続けるゆっくりにはマスクが与えられ、そして更に勝ちぬいたマスクゆっくりは自由を勝ち取る事ができる マスクは数多の同族の屍を踏み越えた強者の証、それを脱ぐ時は敗北を意味する マスクを剥がれたゆっくりはそのマスクを捨て新たにマスクを得るまで再び戦いを続けなくてはならない ゆっくりドールにとってマスクは頭の飾りや帽子以上の価値、命そのもの ゆっくり達にとっては語源のルチャリブレよろしく自由を勝ち取るための戦いであるのだ このまりさはルチャゆっくりでは現在一番人気の花形ゆっくりドール。 デビュー以来負け知らずで特に華麗な空中技に定評がある ルチャゆっくりの中では殿堂入り確実の生ける伝説ゆっくりドールである かたやフランのほうは中堅クラスであるものの高い戦闘力と凶暴性で最近のし上がって来た実力派、決して楽勝な相手とは言い難い 今現在餡子が漏れているマスクまりさは体力的にも長期戦は不利、しかしフランは警戒を奇襲し徐々にコーナーへ追い詰めて行く いくら手負いとてマスク持ちは百戦錬磨の猛者、迂闊な攻撃は仕掛けない辺りフランも並みのゆっくりドールではない マスクまりさがコーナーポストに背をつきの呼吸が乱れかと思うとと体を僅かに傾けるのを見るや雷のごとく飛び掛った 「ますくとられてゆっくりしね――ッ!」 だがマスクまりさは睨み付けたまま動かない。 コーナーに居る以上フランの突進を下手に回避しようとしても逃げれず、リング外に逃げようとしてもその隙に無防備な部分を晒すだけという事を知っている。 そしてコンマ一秒の世界のタイミングで避ける事を決意した マスクまりさは息一つすると極限まで集中する。 一つ息を吐くと空気を震わす観客の歓声がフッと消え、今まで気にならなかった生暖かい風の張り付く感触を感じ、 目の前に向けられたフランの鋭い牙がスローモーションビデオを見てるかのごとくゆっくりと近づく 5センチ... 3センチ... 2センチ... 1センチ... フランは勝利を確信していた 牙は確実に柔らかい皮膚を突き破り餡を抉った後奴は豚のような悲鳴を上げるだろうと カチン!! だがフラン確信とは裏腹に牙のぶつかる音だけが響いた 「うっ!?うーっ!?」 いつの間にか眼前のまりさは霞のごとく消えていた まりさの見せた隙はフェイクだったのだ 後悔したところでもう遅い 次の瞬間頭部に強烈な衝撃が走り地面に叩きつけられると目の前が餡で真っ黒に染まり何がおきたか理解できぬまま事切れた フランだったものから飛び出した餡子の山からムクりとマスクまりさが立ち上がる お互いの鎬を極限まで削る我慢比べにまりさは勝ったのだ ――すたーだすとればりぇ マスクまりさの得意技の一つ 敵の攻撃を極限までひきつけてコンマ一秒のタイミングで敵の頭上に飛び上がりそのまま全体重をかけて敵を地面に叩きつける その一連の動作は流星の如く華麗でそれ見た誰もが魅了される程の高難度の空中技 「ウィナーッ!エルゥ――ッマリィーサァ――!!」 審判が勝者の名前を告げると観客席からは悲鳴のような歓声と怒声が起き周囲に紙吹雪が舞った 「まりさー!よくやったぞ!」 一人の若い男がロープを潜りリングにうつ伏せに寝転がっているまりさの元へ駆け寄る 「おにー…さん…まりさ…がんば…たよ」 ずり落ちた帽子を力なく少しだけ挙げて顔半分をセコンドの男のほうに向けるとにこりと微笑んだ 「ああ…頑張ったとも!後10勝だ!!後10勝てばお前は自由になれるんだぞ」 「うん…でも…まり…さだめ…かも…」 「何言ってんだ怪我はたいした事ないぞ!休めばすぐ治るからな!」 男がまりさを優しく抱きかかえて顔を見るとハッとしたと表情を見せると途端に真っ青になった 何とまりさの左目を両瞼が縦にぱっくり切れ眼球から透明な液が漏れている すたーだすとればりぇを決める為に跳躍した際、満身創痍のまりさはタイミングが少し遅れたため運悪くフランの牙が目を掠ってしまったのだ 「もう…まりさは…あかちゃんのために…たたかえないの…?」 後10回とはいえ戦う相手はどれも強敵ぞろい、片目で戦うには余りにも手に負えなさ過ぎる さりとて傷が癒えても片目に慣れるまでまでじっくり休養する時間などまりさには与えられない 「あ…今すぐ治療するからな!だからじっとしてろ!!」 男はまりさをマスクを丁寧に脱がし、しっかりとまりさを抱えると揺れぬ様急ぎ足で幕舎の中へ入るとベッドにおろして くすり箱をひっくり返すと治療を施したが潰れた目はどうにもならなかった 「畜生…なんてことだ…」 男がまりさを見下ろして項垂れていると幕舎の中に恰幅のいい中年の男が不機嫌な顔をしながら入ってきた 「全く何てことだ!あれだけ投資してやったのにこれからって時にしくじるとはなぁ!!」 どうやらまりさの主人はこの人物らしい 「お…御館様、こいつは片目をやられだけです再起不能になった訳じゃないんです!あと十勝なんです!!どうか見捨てないでやってください!!!」 「饅頭ごときに情が移ったのか?動ける動けねぇじゃねぇよ!確実に勝てるようなじゃなきゃ駄目に決まってんだろうが! 怪我をしてもう使い物にならんなんて知れたら商品価値は無いも同然なんだよ!」 中年男は腕を組むと幕の中を言ったりきたりしながらブツブツと何かをつぶやている 「そうだ…コイツとかなことの試合を組もう。目は形だけ直しとけ、眼帯とか包帯はつけるな。 伝説の終焉って売り込みでコイツには華々しく最後の花道を飾らせてやろう!次の試合だ!わかったな!」 そう捲くし立てると中年男は近くにあった水瓶をけり倒してがっくりと崩れ落ちる若い男を尻目に出て行った ふかんぜんねんしょー 複数の重賞を勝利した競走馬達もその最後は決して安らかじゃないんだってね byおれまりさとかイワレタ人 このSSに感想を付ける
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ゆっくりとりひきしていってね!1 その日は大雨だった。 「・・・」 少年は傘も差さず大きなゴミ箱をじっと見つめていた。 ゆっくりを捨てる為のゴミ箱。 厳密には捨てるわけではなく、加工場の従業員の回収する手間を省く為の箱。 その中で何匹ものゆっくりが騒いでいる様子が見て伺える。 しかし、この箱の中は完全防音の為その声が外に届くのは箱を開けた時だけ。 少年は何を血迷ったのか、その箱を開けた。 「「「「「ゆゆゆゆゆっくりしていってね!!!」」」」」 一気に騒がしくなる。 しかし幸い周囲に人はいない。 少年はその中から二匹のゆっくり、れいむとまりさを持ち出した。 「ゆ!おにいさんだあれ?ゆっくりできるひと?」 「おにいさんはたべものをおいてまりさにおうちをわたしてでてってね!!」 少年は2匹を腕で抱え込み、静かにその場を後にした。 少年は、一人だった。 少年の両親はつい最近、事故でこの世を去ってしまった。 少年は留守番を頼まれていた。慣れていたことだった。 少年に、両親の遺産が託された。 どんなに遊びほうけたとしても、一生を生きることが可能な程。 ※細かい設定はスルー、少年は一人暮らしになったとさ※ そして、今現在。 少年は流石に一人だと嫌なのかまた別の目的か、二匹のゆっくりを家に連れてきた。 「ゆ!!ひろいおうちだね!ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」 「ゆ!?ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!れいむはとっととでてってね!!」 「ゆ・・・?じゃあふたりでいっしょにくらそうよ!そうすればたのしいよ!」 「ゆゆっ!れいむがいいことをいったよ!なかよくくらそうね!」 「「じゃあおにいさん、さっさとでてってね!!!」」 勝手に二匹で会話を進行した挙句、ここまでつれてきた少年を追放しようとするゆっくり。 少年は無言のまま、2匹をケースに入れた。 「ゆ!?おにいさんなにするの?れいむにさっさとおやつをもってきてね!」 「ゆゆぅ?おにいさん!ここはせまいよ!まりさをさっさとここからだしてね!!!」 「そこが今日からお前達の部屋だ」 少年が初めて口を開く。 その声は暗く、大人びた声。とても少年の発する声とは思えない。 「ゆ!いやだよせまいよ!こんなせまいところだとゆっくりできないよ!」 「そうだよ!ゆっくりさせてくれないおにいさんはとっととしね!!」 少年は無言でケースにくず野菜を放り投げる。 「ゆゆゆゆ!!おやさいだ!!おにいさんありがとー!」 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー♪」 「ゆ!まりさずるいよ!ひとりでかってにたべないでね!!」 「ゆぅ!ごめんねれいむ!いっしょになかよくたべようね!!」 「「むーしゃ♪むーしゃ♪むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせしあわせー♪」」 2匹はケースのことを忘れていた。無理もない。所詮は餡子脳、いいことがあれば悪いことなどすぐ忘れる。 そうして2匹は満腹になり食事を終えた。 「ここならゆっくりできるね!おいしいおやさいくれたおにいさんはいいひとだね!」 「そうだね!おにいさんがきたらもっとおやさいもらおうね!!でもきょうはおなかいっぱいだね!あしたもらおうね!」 少年は舞い降りた。 ゆっくりケースの目の前のテーブルに豪華な食事を並べて。 「ゆ!!おにいさん!!そのたべものなあに!?」 「どおしてまりさたちにくれなかったの!?おやさいよりそっちがいい!!すごくおいしそうだよ!!」 「満腹・・・なんだろう?分けようとは思ったのに満腹じゃあ仕方ない。これは全部俺が貰うよ」 それだけ言うと少年はケーキにナイフを入れ始める。 少年はデザートが大好きらしい。 「ゆゆ~!!おにいさんだけずるいよ!!れいむたちにもちょうだいよ!!」 「おにいさんはいじきたないよ!!いじきたないなんていわれたくなかったらまりさたちにもちょうだいね!!」 デザートタイム、終了。 少年はゆっくりに近づき、提案する。 「お前達・・・食事が欲しいのか?」 「ゆ!もちろんだよ!はやくりかいしてね!!」 「お前達にただで食事をやるのはさっきまでだ。今からは取引だ。」 「おにいさんはまりさたちにおいしいものをもってくればいいんだよ!!はやくもってきてね!!」 少年の目は光を失くした。 「なら、そこでのたれ死ね。お前達に一切食事を出すことはない。」 少年は冷たく言い放つと、その場を後にしようとする。 流石にゆっくり達も食事が出来ない怖さを知ったのか、 「ごめんなざいおにい”ざん!!!!あや”まるがらゆるじでえぇえ!!!!」 「まりさ”がわるがった”でずう!!ゆるじでええええ!!!!!!!!」 少年は再び舞い降りた。 「ならば条件を出そう。取引できるものを書いた紙をここに貼っておく。 食事がしたい時はこの呼び鈴を押してこの紙に書いているものを俺に渡せばそれ相応の食事を用意してやる。」 そういうと少年はその紙を貼り付け、呼び鈴をセットし、その場を後にした。 ゆっくりたちはその紙を眺める。 「なにをわたせばいいんだろうね?」 「まりさたちなにももってないんだぜ・・・」 ------------------------------------------------- 生ゴミ・・・ゆっくりの頬一切れ くず野菜・・・ゆっくりの頬三切れ 果物・・・ゆっくりの「中身」15% 3日分の食料・・・ゆっくりの赤ん坊(生後すぐの物以外は認めず) 1週間外出許可証・・・ゆっくりのりぼんやぼうしなど --------------------------------------------------- 「・・・ゆ?」 2匹は固まっていた。 意味が分からない。 とりあえず、呼び鈴を鳴らす。 「早速か。どれがいいんだ」 「おにいさん!これ、よくわからないよ!!いみがわからない!!!・・・ゆ?」 それを聞いた少年の顔が…変わった。 楽しそう、しかし悪魔の様な顔。笑っているが、怖い。 「ゆっ・・・!?」 「おに・・・いさん?」 「じゃあ説明しよう・・・取引に関して」 「まず生ゴミ。生ゴミは不味いが食べれば死なない。ただ生き残りたいのならこれを選べば良い。 生ゴミを食べる代わりにお前達の頬を一つ、千切って俺が貰う。それで生ゴミの取引は終了」 「次にくず野菜。さっき食べたやつだ。これは栄養もそこそこあって食べればまあ満足だろうな。 その代わり、お前達の頬を3回、千切らせてもらう。それでくず野菜は終了」 「次は果物か。果物は美味しくてなおかつ栄養もくず野菜とは桁違いだ。かなりゆっくりできるだろうな。 しかし、果物の場合はお前達の中身を結構いただく。」 「ちょっとまっておにいさん!!」 「・・・ん?」 「なかみってなあに?」 少年の顔がさらに黒くなってゆく。 「お前達の中身。お前達の中にあるものをいただく。ただそれだけ。次に進む。」 「いみがわかr まりさの言葉はかき消された。 「次に3日分の食料・・・豪華だ。美味くて栄養もあってそれが3日分もある。食べ過ぎても2日はゆっくりできる。 その場合・・・お前達の子供、それも赤ん坊限定で俺に提供しなければいけない」 「でも・・・まりさたちはこどもがいないよ!それじゃむりだよ!!」 「作ればいいさ」 「ゆゆ!!そうだね!!!おにいさんさすがだねA!!!」 しかし、れいむの顔色は優れない。分かっているようだ。 「お・・・おにいさん、それは・・・れいむたちのつくったあかちゃんをおにいさんに・・・」 「そう。お前達の赤ん坊はその気になれば食料に代わる」 「いや”だああああああ!!!!!!あかぢゃんいあやああああああ!!!!!!」 れいむは泣いた。これは普通の反応である。自分の子供をお兄さんにあげるなどとなれば、当然。 しかしまりさは違う。その気になれば平気で仲間を裏切る性格。自分の為ならたとえ赤ん坊でも容赦しないだろう。 「さーて、最後の説明だ。心して聞け。 この1週間外出許可証・・・これは1週間だけ外に出してやる。 その間は自由だ。ただしその間ここには戻れない。 そしてこの外出のスタート地点は森の奥だ。 そのために必要なものは・・・おまえたちのリボン、帽子」 ここについては疑問を抱かないゆっくり。 まあ仕方ない、これについてはよく分かっていないのだろう。 「ゆっくり理解したか?じゃあな」 少年はじぶんの部屋へと戻っていった。 「れいむ!どおする?きょうはもうおなかいっぱいだからいいけど・・・・」 れいむは即答した。反射反応のように。 「さんにちぶんのたべものはだめだよ!!!ぜったいだよ!!!!!」 その顔はただ頬を膨らませているだけであるが、ゆっくりからしたら相当の迫力のようだ。 まりさは恐れをなした。 「ゆ・・・わ・・・わかったよ!ゆっくりりかいしたよ!」 「りかいしたならいいんだよ!いっしょにゆっくりしようね!!」 「ゆー!!」 こうして2匹のゆっくりの新たな生活が始まる。 本来ならば加工所送りにされていた二匹。 それが吉と出るか凶と出るか・・・それはまだしったこっちゃねえや ゆっくりとりひきしていってね!1 終 続く _____________________ 今回あとがきはそんなになしです。 代表作 ゆっくり大福作ってみた このSSに感想を付ける
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ここはゆっくり草原。 猫や蛇、れみりゃ種といった捕食する生物がほとんどいないゆっくりの楽園だ。 その中に大規模なコロニーを築くゆっくり大家族がいた。 れいむ種やまりさ種、ちぇん種にみょん種といった色んなゆっくりの家族が寄り添い協力して過ごしている。 今日も母ゆっくりと中ゆっくりの半分がまだ小さいゆっくりや赤ちゃんゆっくりのために餌を集めに出かける。 残り半分のゆっくり達は子供たちを守ると同時に遊びの相手をしてあげる。 この平和なゆっくりコロニーの中で子供のゆっくりたちはすくすくと育っていくわけである。 そんなゆっくりコロニーの日常を観察しようと思う。 1.食事 餌を取りに出かけたゆっくり達が帰ってくるとこのゆっくり草原は騒がしくなる。 基本的には自分の子供/妹たちにしか餌を与えないようである。 なので食事の際は家族ごとに点々と寄り添って食事を行う。 だが、この時に面白いことが起きる。 家族ごとに集まるときにゆっくり達は誰が自分の娘や妹なのか分からないのだ。 そこで起きるのが『子の奪い合い』だ。 「この子はわたしのこどもだよ!!」 「ちがうよ!わたしのこども!!」 母であるゆっくりれいむが二匹争っている。 いや、そこらじゅうで何組かの母ゆっくりが争っている。 「ちがうよ!おかあさんはこっちだよ!!」 しかし子ゆっくりは母を覚えている。 母ゆっくりもそれを知っているようで、子ゆっくりが主張すれば大抵その場は収まる。 だが、その時に何も言わず本当の母を探している小ゆっくり達は大抵悲惨な結末を迎える。 「わたしのこどもだからこっちね!!」 「ちがうよ!!こっちだからね!!」 自分の子供だと主張しあう母たちに挟まれておろおろしている小ゆっくりを母ゆっくりが咥えて引っ張る。 そうすると取られてたまるかともう一方の母ゆっくりも咥えて引っ張る。 「ゆっくりはなふぃふぇね!!」 「そっちこそはなふぃふぇね!!」 小ゆっくりを引っ張り合う母ゆっくり。 「い”だい”よ”!は”な”じでぇ”!」 強い力で両側に引っ張られて体が引き裂かれる痛みに襲われる小ゆっくり。 しかし興奮した母ゆっくりはそんな事はどうでもいいようだ。 「や”あ”あ”あ”!じぬ”う”っ!!」 ばつんっと小ゆっくりの皮が真中から裂けて中身が地面へと落ちていく。 小ゆっくりを奪い合った結果殺してしまうなんて大事件のはずだが、他のゆっくりは自分の食事に夢中で気づく様子もない。 「そっちのせいだからね!!」 「ゆっくりあやまってね!!」 犯人である母ゆっくり達も悲しむ様子もなく、責任転嫁しあうとぷいっと顔を背け合う。 小ゆっくりの本当の母親はそのすぐ傍で「うっめ!めっちゃうめっ!」などと食事に夢中なのだから何とも報われない話である。 大体一回の食事で2~3匹の子ゆっくりがこういった惨劇の被害者となるが、小ゆっくりの数は多い。 なので気づくものもいないし、気づいたとしてもすぐに忘れてしまうのだ。 この子の奪い合いは、このような大規模なコロニーでないと中々見られない貴重な光景である。 2.外来者 今回の取材の中で面白い事件と遭遇した。 草原の外からだろうか、ゆっくりアリスが数匹この大家族の仲間入りをしたのが始まりである。 ゆっくりアリスは特にゆっくり魔理沙と仲が良く、よく寄り添っていた。 だからといってまりさ種だけじゃなく他のゆっくり種ともうまくやってるようだ。 子ゆっくり達は初めて見るゆっくり種に興味心身らしい。 「ゆっくりあそんでね!」「いっしょにゆっくりしようよ!!」 こんな感じでゆっくりアリス達にベタベタである。 そんな小ゆっくり達相手にもゆっくりアリスは優しく応じているようだった。 ゆっくりアリスが来てから数日。ふと違和感を感じた私は夜中のゆっくり達も観察することにした。 というのもいつの間にかアリス種の小ゆっくりが増えていたのだ。 さらに中ゆっくりの枯れ果てた姿が複数見受けられた。 間違いなくこれはゆっくりアリスが中ゆっくりに対して性行為を行った結果なのだろう。ともかくその瞬間を見ようと思う。 夜中、NITORI製の暗視ゴーグルにて観察を行う。 すると他のゆっくりが寝静まった頃、ゆっくりアリスが活動を始めたようだ。 ゆっくりアリスが同じぐらいの大きさのゆっくりに近づいていく。 母ゆっくりはゆっくりアリスにとっては大きすぎるから性交渉の相手にはならないのかな。 そんな事を思いながら見ていると、ゆっくりアリスは中ゆっくりではなく、中ゆっくりの傍で眠る小ゆっくりに向かっていることに気づいた。 小ゆっくりを襲うのかなと見ていると確かに襲った。性的な意味でじゃない。完全に踏みつぶしていた。 あの感じだと声も出ずに潰れただろう。 一瞬で潰れた饅頭と化した小ゆっくりをゆっくりアリスは食べていく。共食い? しかし食事は全員たっぷり食べていたと思うけど。 そうやって他数匹の小ゆっくりを潰して食べると、今度は中ゆっくりに寄り添うと交尾を始めた。 「はぁはぁ!ゆっくりさせてあげるね!!」 「あ”、あ”あ”~~!!」 どう見ても寝込みレイプです。 他のゆっくりアリスも見ると、同じような行動を取っていた。 しばらくするとゆっくりアリス達はすっきりしたようだ。 元寝ていた場所に戻って再び寝始めた。 そして寝込みを襲われた中ゆっくりはと言うと目を見開いた驚愕の表情で固まっていた。 頭の先から徐々に蔓が延びていた。 翌朝にはゆっくりアリスがまた増えていた。 そして数日後 さまざまな種類のゆっくりが生息していたこのゆっくり草原だったが、 今や生息するゆっくりの大半がゆっくりアリスになっていた。 母ゆっくりは自分の娘たちが減っているような気がしたが、元々自分の娘が何匹いるかなど知らないので気のせいかとやはり思っていた。 そして今日もゆっくり草原へ足を運ぶ。 するとすでに平和なゆっくり草原は無くなっていた。 母ゆっくりに群がり交尾を強制する大量のゆっくりアリス。 残り少なくなったアリス種以外のゆっくり達に襲いかかっていた。 とうとう隠れてゆっくりを襲うことをやめたようだ。 集団で襲われた母ゆっくりは最初抵抗したのだろう。何匹かのゆっくりアリスが潰れていた。 しかし集団で押さえつけられ、何度も絶頂へと押し上げられて動けなくなっていた。 どんどんと母ゆっくりの体から蔓が延びていく。 見るのは初めてだったが母ゆっくりは中ゆっくりと違って一回の強制性交渉で死ぬことはないようだ。 それでも体が蔓で覆われる頃には死んだ。 結局この草原はゆっくりアリスだけが住む草原となった。それも一日だけ。 ゆっくりアリスというのは安住の地というものに興味がないらしい。 大きなものも中ぐらいのものも、小さいアリスもそれぞれバラバラに草原から去って行った。 繁殖する相手がいないからここにいても仕方ないと判断したのだろう。 だがこの草原の外はゆっくりにとって危険な存在がたくさん生息している。 他のゆっくりに会えるゆっくりアリスは一割にも満たないだろう。 他のゆっくりに会うとゆっくりアリスは共生する。 そして小ゆっくりを殺し、中ゆっくりで仲間を増やす。そして最後は集団で母ゆっくりを襲うのだ。 今回はそれがただ大規模になっただけ。自然界ではよくあることなのだ。 ゆっくり草原もしばらくすれば徐々にゆっくりが戻ってくるだろう。 その時はまたゆっくりの生態を調べにここに来ようと思う。 終
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注)イライラの続きです(作者は別の方です) あまりにムシャクシャしてきたので「ゆっくり撃ち」に出かけることにする。 納屋から猟銃代わりの小銃を取り出して簡単な点検を行う。 問題なし、直ちに使用可能だ。 弾薬箱から九七式焼夷実包と九九式普通実包をいくつか取り出して運搬用の弾入れに入れる。 ゆっくりに何をされても一切反撃しないことで里では有名な変わり者のオッサンの畑へ向かう。 あの畑ではいつもゆっくりが我が物顔で徘徊しているのは有名である。 連中に人間の恐ろしさを教育してやるとしよう。 5分ほど歩くとそのオッサンが道の向こうからトボトボと歩いてくる。 ゆっくりに甘いだけで他の点はいたって普通のあのオッサンはもう少しハキハキと歩いていたような気がするが…。 畑に行って射的の的がありませんでしたじゃ困るので話しかけることにする。 やはり腰を痛めていたようだ。しかもゆっくりに体当たりされてときた。 そこまでされたら八つ裂きにしてやりたくなるもんだが、なぜかこのオッサンは一切手を出さない。 まあおかげで楽しく射的ができるのだから文句のつけようも無いが。 オッサンに畑のゆっくりを始末する許可を(殆ど儀礼的なものだが)貰った俺は畑へと急いだ。 畑に行って射的の的がry 5分間の駈足行軍で畑から間に別の畑を挟む程度に離れた土手にたどり着いた。 畑のほうが位置が高いので土手に身を隠す形になる。 「ゆっ…く…たべ……!」「「おい…し……!」」 ゆっくりの楽しそうで人間の精神を逆撫でする声が聞こえてくる。デケエ声だ。 クリップに取り付けた5発の弾を上から装填し遊底を閉め、表尺を起こす。 安全子を手のひらで押し外し、伏射の体勢を取って射撃準備完了。 表尺から畑を覗くと大型の紅白饅頭と黒大福が1つずつ 子供の紅白饅頭が4つに黒大福が3つ見えた。 オッサンは紅白饅頭の親子しか居なかったと言っていたから、その後に呼ばれるなりして増えたのだろう。 まあ的が増えて楽しいだけだが。 一発目は焼夷実包。母親らしき霊夢種に照星を合わせて引き金を引いた。 焚き火に突っ込んだ竹がはじけるような音が辺りに響く。 無煙火薬の燃焼によりマッハ2前後に加速された銃弾は母霊夢の顔ほぼ中央に命中、 銃弾自体は反対側から出口の餡子と皮を道連れに抜けていったが、体内においていかれた焼夷剤が発火し高熱を発生させた。 「ゆっく…り?」 命中した瞬間は何が起こったか分からない様子だったが、体内で発生した高熱を感じ取ると大声で泣き叫び始めた。 「あ゛つ゛い゛よ゛お゛お゛ぉぉおお!!い゛た゛い゛よ゛お゛おおお!」 「おかあさん!しっかりしてね!」「しんじゃやだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」「ゆっくりじでええ゛え゛え゛!!」 母の悲鳴に子供達や魔理沙種が涙を流しながら声を上げる。 普通、他のゆっくりが危害を加えられると魔理沙種はさっさと逃げ出してしまう物だが、 よほど仲が良い親友だったのか逃げ出そうとはしなかった。 「さっさと逃げ出せばいいものを」などといいながらボルトを引き普通実包を装填。狙うは母魔理沙。 引き金を引くとほぼ同時に母魔理沙の額にパスッと小さな穴が開き、反対側がはじけとんだ。 親友を心配している顔で「ゆ゛ぅ゛ぅ゛う゛゛う」と断末魔をあげて絶命した。 残った三発を子供の黒大福に平等に一発ずつ叩き込んだ。体が小さいためか銃弾は母ほどダメージを与えずに反対から抜けていった。 小さな黒大福は「た゛す゛け゛て゛ー!」「い゛た゛い゛よ゛ー!!」と言ってのた打ち回っている。 遊底を開けて次弾装填、すべて普通実包だ。 次々に周りの友達や肉親が倒れていって混乱のさなかにある紅白饅頭にも一発ずつプレゼントし、 やはり苦しみながらのたうつのを見て表尺から目を離す。 なかなか愉快な気分だったが、何時までも叫ばれ続けるのも腹が立つので慈悲深いことに止めをくれてやることにした。 銃剣を取り出して小銃先端の着剣装置に装着する。 もう音を立てないようにしても意味が無いので、小銃を構えて走る。 あっというまに畑にたどり着いたが、どのゆっくりもこちらには気がつかない。挨拶ぐらいしてもいいじゃないか。 こんな無礼な生き物はやはり死すべきだと再認識したので、この中で一番苦しそうな(一番目障りな)母霊夢に足を向ける。 母霊夢は白目をむきながら「ゆ゛、あ゛、あ゛、あ゛…」と不気味な声を上げて苦しんでいた。 目の前に立ってやっとこちらに気づいたようで「た゛す゛け゛て゛…」とか言ってきたが勿論無視。 腰を低く落とし銃剣で一気に突く! 「ゆ゛う゛う゛う゛っ!!!」 どこにそんな体力が残ってるんだと思うぐらい大きい断末魔を上げたあと、ガクリとくずれ動かなくなった。 「確認殺害戦果1、だな。」 そう呟くと、今の断末魔でこちらに気づいた子ゆっくりどもの始末に向かう。 「お゛し゛さ゛んや゛め゛て゛ええ゛!!」「と゛う゛し゛て゛そ゛お゛いうこ゛と゛す゛る゛のー!!」 何か言ってきてるが当然やめるつもりは無い。母の餡が付着した銃剣で子ゆっくりを突き刺した。 「ゆ゛ふ゛っ!」「ふ゛け゛っ!」「ゆ゛っく゛りさ゛せ゛て゛ふ゛ほ゛っ!」 紅白饅頭を3つ処理し、次に黒大福の処理に向かう。殆ど作業だった。 「ゆっく゛りや゛め゛てへ゛っ!」「ゆ゛る゛し゛っ!」「い゛っし゛ょに゛ゆっく゛りし゛ふ゜っ!」 命乞いをして来たゆっくりを突き刺すことほど気持ちが良い物はそうそうないと思う。 何か忘れた気がしてきた所で、ふと後ろを振り向く。 餡子を引き摺りながら最後のゆっくり霊夢が必死に逃げていた。もう殆ど森へ入っている。 何を思ったか「おじさんはひとりでゆっくりしててね!」などと捨て台詞を吐いた。 だが、それが良くなかった。 発声するために一瞬移動をやめ、その為に隠れられそうな岩陰にあと少しのところで銃弾を受けてしまったのだ。 どうせ放って置いてもあの様子じゃ捕食者に食われるか野たれ死ぬかなので見逃してやろうと一瞬思ったが、 死ぬまでに他のゆっくりに出会って此処の惨状を伝えられるとひどく不都合なことになる。 別にゆっくりの復讐など恐れることは無いが、此処の惨状を知ったゆっくりが此処へこなくなるのは避けたかった。 折角の楽しい趣味が一つなくなるのは非常に不都合だ。 そこまで考えた俺は、あと少しで岩陰に入ってしまうゆっくりに表尺を合わせ引き金を絞った。 そのゆっくりは何が起こったかわからなかった。 あとすこしでおうちにかえれる!そう思ったとき、急に視界が飛んだ。 分からないのも無理はない。 最初に受けた銃撃で体の構造が不安定になっていたところに受けた二発目の銃弾は、その持てる運動エネルギーで饅頭に不可逆的な変化を起こしたのだった。 俺は愉快な気分で帰宅中だった。 ゆっくりを手に掛けるところを思い出すと、どうしても笑みがこぼれる。 特に最後のは傑作だった。 銃弾が命中した瞬間、饅頭が粉々に弾けとび、何が起こったかわからないという顔の部分が空中からひらひらと地上へ落ちていくのを見てしまったのだから。 オッサンには楽しい思いをさせてもらったお礼に、何か作物をあげようかと思いながら彼は家へと急いだ。
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虐待ゆっくり上の続編です。 やぁ、俺は元虐待爺さん、つい先日老衰で大往生を果たした虐待命の老人だ。 俺はあの世で巨乳の船頭さんの船に乗せてもらって、対岸にある裁判所で死後の裁きを受けることになった。 俺は当然の様に天国でまたゆっくり達を楽しく虐待できるものと思っていた。 だがしかし、絶壁の様な胸の四季映姫・ヤマザナドゥ(ヤマザナドゥは役職名らしい)という名前の閻魔様に、ゆっくりに三回転生した後地獄行きという非常に厳しい判決を貰った、現実は非情である。 流石の俺もあの時は耳を疑ったね、年のせいかと思って何度聞きなおしてもゆっくりに三回転生した後地獄行き、断固控訴すると言ったのだがあの世の裁判に控訴は無いらしい。 弁護士も呼べないまま俺はゆっくりに転生させられた。 しかし転生してゆっくりになっても、俺の胸に燃えたぎる虐待魂が冷めることはなかった。 ゆっくりに転生した一度目の生は、餡子の繋がった姉妹を食い殺し親の前で二つに割れてありすに食われるという、人間だったころはやった事のない特殊な虐待をやった。 こんな変わった趣向の虐待ができるのならゆっくりになってみるのも悪くない、そう思っていた俺だったが二回目の転生でその考えは間違いだったことが分かった。 何故かというと今俺自身が虐待を受けているからだ。 「おぅ!!ゆっくりせずに早く歩けよ!!親の分までじっくり苦しめよ!!」 「ゆぅ!!ちゅかれたよ!!ゆっくちさせてね!!」 「はぁ、はぁ、糞…俺がこんな目にあうとは…」 野良ゆっくりの身で家に侵入した愚かな母れいむは、パンチパーマの家主に見つかり頭にドスを突き立てられ絶命した。 不幸にもその母れいむに実っていた俺たち姉妹は母体の死の数分後、元気に産声を上げてしまった。 母れいむを殺しただけではイライラの収まらなかったパンチパーマお兄さんに俺達は虐待を受けている。 俺と姉妹のゆっくり達はランニングマシーンに乗せられて、仲良く無制限ランニングをさせられている。 マシーンは非常にゆっくり動いているが、俺達ゆっくりからすれば常に早歩きを強要される速さだ、生まれたばかりの俺達には非常に苦しい運動なのだ。 しかし、歩みを止めてこのマシーンから落ちるとパンチパーマのお兄さんの拳の一撃で叩き潰されてしまう。 最初は十匹以上いた俺達ゆっくり姉妹も、今じゃ俺を含めてたったの六匹しか残っていない。 「れいみゅちゅかれたよ!!ゆっくちちたいよ!!」 「ゆっくちちちゃだめだよ!!おじさんにいびゅ!!!ゆぁぁあ!!!!!ぶぎゅっ!!!!」 妹を励ましていた姉まりさはお兄さんの拳で餡子をぶちまけた。 「おぃ!!!こらぁ!!!俺はお兄さんじゃ!!おじさんじゃないんだよぉ!!!」 ゆっくりを虐待して死ぬのは良い、死を覚悟し肯定したその先にこそ俺の求める虐待道はあると俺は思っている。 そうじゃなきゃドス級ゆっくりやゆっくりめでぃすん、ゆっくりうつほ等の人を殺せる可能性のある危険種は虐待出来ない。 とは言えだ、ゆっくり虐待もできずに死んでいくのは無駄死にだ、俺もやはり死ぬならゆっくりの餡子の海で死にたい。 この際自分の手で皮を切り裂き生温かい餡子をその身に浴びることが出来ずとも、俺をきっかけにゆっくりが苦しむところを見られれば良い。 「ゆっくりしていってね!!」 ランニングマシーンの上で俺は叫ぶ。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 俺のゆっくりしていってね!!に反応して返事を返す姉妹たち。 しかし俺のゆっくりしていってね!!は終わらない、真の覚悟はこれからだ!! 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」」」」 俺の全力のゆっくりしていってね!!連呼に姉妹たちも疲れ切った体で返してくる。 ふはははははは!!!無限マラソンで体力を消耗している所に俺のゆっくりしていってね連呼!!、さぁわずかに残った体力をどんどん消耗してパンチパーマに叩きつぶされるが良い。 「おらぁ!!!」 「ゆぎゃ!!!!!」 突如体に炸裂した激痛、ぐしゃりと体が潰れて辺りに餡子が飛び散る、自分の吐いたものだと理解するのに数秒を要した。 「おい!!コラァ!!ゆっくりゆっくりうるさいんだよ!!静かに死ねよ!!」 パンチパーマの怒声と共に自分に向って振ってくる大きな握り拳、死ぬ前に潰れていない方の目で見た最後の光景がそれだった。 結局虐待らしい虐待も出来ずに俺の第二のゆっくりとしての生は終わってしまった。 目を覚ますと、そこは光のない真っ暗な場所だった、しかし不思議と俺は不安を感じ無かった。 ゆっくりとしての本能で自分が何処にいるのかが良く分かるからだ、ここはゆっくりの体内だ。 「ゆぅ~♪ゆっくりおおきくなってね!!」 俺の母親のゆっくりの声が響いてくる、喋り方からしてまたしても俺はゆふらんやきめぇ丸にまたしてもなり損ねたらしい。 はぁ~、また面白みもなくゆっくりれいむやゆっくりまりさなんだろうな、せめてゆっくりみょんに生まれたならば女学生の部屋に乱入して淫語を連発したり楽しみようがあるのだがな。 「ゆぅ~♪ゆっゆ~♪とかいはなあかちゃんになってね!!」 都会派…俺はゆっくりありすの子供なのか、ありすを虐待するのは嫌いではない好きなゆっくりを思いっきり虐待できる思うと良い気分だ。 「ゆ~♪おかえりなさいまりさ!!」 「ゆっくりただいま~!!ありすごはんをもってきたよ!!」 どやら俺のもう一匹の母親の方はゆっくりまりさのようだ、珍しくもない組み合わせのカップルだな。 「む~しゃむ~しゃ!!しあわせ~♪まりさこのむしさんすごくゆっくりしてておいしいわ!!」 「ゆぅ!!くろうしてつかまえてきたかいがあったよ!!ゆっくりたべてかわいいあかちゃんをうんでね!!」 随分と仲の良い番いの様だな、最後の転生でとびっきり虐待し甲斐のあるゆっくりに出会えて俺は幸せだ。 ゆっくりとしての最後の虐待、盛大に楽しもうじゃないか。 カスタードの海の中で声こそ出せないものの、俺はプルプル体を震わせながら笑った。 「ゆゆ!!!まりさおなかのなかであかちゃんがうごいたわ!!!」 「ゆぅ!!!!ほんとう!!ありす!!」 「ほんとだよ!!とってもゆっくりうごいてるよ!!」 ありすは自分のお腹の中に息づく、小さなしかし確かな命の鼓動に母として感激し涙を流す。 「ゆぅ~ぅ‥」 「ありすどうしたの?ゆっくりなかないでねまりさがついてるよ!!すーりすーり」 「ゆぅ‥ありすはだいじゅうぶよ!!まりさがいてこれからあかちゃんもできるんだなーてっおもったらしあわせーってなみだがでてきたんだよ‥」 「ゆゆ?しあわせーなのにないちゃうなんてへんだよ!でもありすがしあわせーでまりさもしあわせーだよ!!」 この時、ありすは優しい夫に頬擦りされながらこの世の幸せをかみしめていた。 優しくて格好良いまりさとお腹の中にいる可愛い赤ちゃんとで幸せで都会派な家庭を築くという幼い頃に見た夢、それがもうすぐ叶うと思うと嬉しくてたまらなかった。 ありすはまだ胎内で育っているの赤ちゃんの中に、生前数多のゆっくりを嬲り殺しにしてきた生粋の虐待師の生まれ変わりがいることは知らない。 ありすはまりさとこれから生まれてくる赤ちゃんのことについて仲良く話し合った。 「まりさ!!あかちゃんがうまれたらたくさんすーりすーりしてあげようね!!」 「ゆゆぅ~♪あかちゃんがうまれるのがとってもたのしみだね!!」 そんな風に楽しく赤ちゃんが生まれた後の計画をまりさと話していると、ありすはまたお腹の中で赤ちゃんがゆっくりゆっくりと動くのを感じた。 「ゆゆゆ!!まりさ!!あかちゃんがまたうごいたよ!!」 「ゆぅ!!げんきですごくゆっくりしたあかちゃんだね!!」 ありすの体内で動いたゆっくりは虐待ゆっくりだった。 彼は暖かくてしっとりとした、とても居心地の良いゆっくりできるカスタードの中を苦虫を噛み潰したような顔で泳いでいた。 さっきから何なんだこの馬鹿ップルは、楽しそうにゆっくりしやがって会話を聞いてるだけで腹が立つ。 幸せそうな二匹の声、なにより幸せそうにゆっくりしているゆっくりの体内に居ることで俺のストレスがマッハだ、精神衛生上すぐにでもこいつ等を苦しめてやりたい。 俺は暫くの間カスタードの海を泳いでいたが、他の部分より柔らかく暖かい場所を見つけた。 お目当ての場所、姉妹の寝ている場所を見つけて俺は思わず微笑んだ。 本当に今すぐにでもこの二匹の泣き声、叫び声を聞きたいが今虐待するのはタイミングが悪い。 俺は目を瞑って過去に行ってきた虐待を思い出しながら気持ちを落ち着けた。 瞼の裏では数多くのゆっくりが悲鳴を上げている、やはり虐待は人間型の身体の方がやりやすい道具を使ったりできるからな、普通種に生まれたのは実に残念だ。 「ゆぅ~まりさだんだんおそとがくらくなってきたね!!そろそろおやすみなさいしようね!!」 「ゆっくりわかったよ!!ありすとあかちゃんたち!!あしたもゆっくりしようね!!すーりすーり!!」 「まりさもおやすみなさい!!すーりすーり!!」 ありすとまりさのすーりすーりは実に二分ほど続いた。 精々楽しんでおけお前達は明日地獄を見る事になる、俺はそんなことを考えながら両親同様に眠りに落ちた。 翌日、母ありすが起きると傍らに寝ていたはずのまりさがいなくなっていた。 葉っぱの上に木の実や柔らかい草そしてありすの好物の蝶が置いてある、恐らく狩りに出かけて行ったまりさが用意しておいてくれたんだろう。 「ゆぅ~まりさったらおこしてくれたらありすがいってらっしゃいのちゅっちゅあげたのに!!」 ありすはまりさの優しい気遣いに思わず頬が緩む。 「ゆっくりいただきます!!!む~しゃむ~しゃ!!しあわせー!!」 ありすはまりさに感謝しながら目の前のご飯をゆっくり食べ始めた。 虐待ゆっくりは親ありすが食事を終えるのを待っていた俺のすぐ隣では姉妹が体を揺らしながらゆっくりしている。 「ゆゆ~♪あかちゃんもゆっくりたべてね!!む~しゃむ~しゃ!!」 ありすはお腹の中でゆっくりと体を揺らす我が子に優しく語りかけながら、慌てず急がず時間をかけてゆっくりと食事をとる勿論十回噛んでから飲み込むのも忘れない。 近くに住んでいる元飼いゆっくりのぱちゅりーが、ご飯をゆっくり食べるとその分赤ちゃんがたくさんゆっくりできると教えてくれたからだ。 ありすはお腹の中で確かに息づいている三つの命が本当に愛しくてたまらなかった。 「ゆ~っぷ!ゆっくりごちそうさま!!とってもゆっくりできたわ!!」 親ありすが満腹になったせいかありすの中のカスタードはほんわりと温かくなって、お腹の中の赤ちゃん達がとてもゆっくりできる状態になっていた。 ありすのお腹の中の赤ちゃんはゆっくりと運動を始めた、ぷるぷると震えたり少しの距離を泳いだりし始めた。 「ゆゆぅ~あかちゃんたちとってもげんきだね!!」 ありすはにっこり笑って目を閉じて、お腹の中の赤ちゃんの様子をゆっくりと感じ始めた。 ゆっくりとお昼寝を始めた子、プルプル震えている子その隣でゆっくりしている子、お腹の中の赤ちゃんがゆっくりできてありすはとっても良い気分だった。 しかし残念ながらその子供たちのうち一匹だけゆっくりしていないゆっくりがいた。 彼はぷるぷると体を震えさせながらイライラしていた、そう虐待ゆっくりだ。 さっきから親ありすの食料を咀嚼する音、とりわけ美味しいものを食べて幸せそうに叫んでいる声が体の中で響いていて俺は非常に不愉快な気分だった、 しかしこの幸せにしている母ありすに、俺が直々に絶望と恐怖をゆっくり味わわせてやれると思うと笑みを抑える事が出来ない。 ふいに右頬に柔らかくてすべすべの何かが優しくこすりつけられた、恐らくは餡子の繋がった俺の姉妹だろう、俺はその姉妹に向かってに向かって思い切り体当たりを仕掛ける。 姉妹は俺の体当たりを食らって飛んでいく、体当たりをした時に体に帽子が当たらなかったので多分ありすだろう、そいつを俺は追いかけていく。 「ゆゆっ!!なんでそんなことするの!!」 ありすはお腹の中で起きた姉妹同士の喧嘩にありすは仰天した。 お腹の中の赤ちゃんは隣にいた赤ちゃんに挨拶をしただけなのにいきなり体当たりをされたのだ、自分のお腹の中で起こった予想外の出来事にありすはパニックに陥る。 「あかちゃんたちゆっくりしなきゃだめだよ!!ゆっくりなかよくしてね!!」 ありすはオロオロしながらお腹の中の赤ちゃんに懸命に語りかけ、忙しなく辺りを這いまわる。 ありすのお腹の中にいた虐待ゆっくりは湧き上がる歓喜を抑えることもせず、喜色満面でさっき自分が弾き飛ばしたまりさを追ってカスタードの中を泳いだ。 カスタードの温度が下がって居心地こそ悪くなったが、今はそんな不快な感触さえも母ありすの苦しみの表れと思えば虐待ゆっくりにとっては甘露に思えた。 ありすの体の中にいるおかげで、今ありすの感じている困惑や恐怖が体に直に染み渡ってくる、普通のゆっくりなら不快に感じるものだが虐待ゆっくりはその感覚に何とも言えない幸せを感じていた。 俺の突き飛ばしたありすは少し離れたところで体を震わせていた、俺が近付いてくることに気づいて必死に逃げようとするが痛みと恐怖で体が引きつっているのだろう、ほとんど前に勧めていない。 俺はさっき突き飛ばしたアリスに近寄ると再び体当たりを喰らわせた、体重を乗せたタックルはまたしてもありすを吹き飛ばした。 生まれる前の声も出せないゆっくり、痛めつけても悲鳴や苦痛の叫びをあげてくれないのは残念だが、その分親ありすが大声で泣き叫んでくれるので虐待ゆっくりはとても良い気分になれた。 「ゆぅ!!けんかしちゃぷくぅぅ!!だよ!!おねがいだからゆっくりしてね!!」 母ありすは体中に汗を浮かべて体を揺らしながら子供たちに語りかけた。 不意に、ぱちゅりーがお腹の中に赤ちゃんがいる時に急に動いたり、ゆっくりしないでいると赤ちゃんがゆっくりできなくなるという言葉を思い出した。 ありすは慌てて動きを止めると、目を閉じてお腹の中の赤ちゃんのために今までの幸せなゆっくりした生活を思い出そうとした。 しかしいくら楽しい思い出を思い出しても、お腹の中の赤ちゃんは小さな妹を虐めようと追いかけている。 「ゆゆぅぅ!!あかちゃんたちゆっくりしてね!!ゆぅ~ゆっくりしてね!!」 母ありすの声を聞きながら虐待ゆっくりは姉妹を追い続けた、震えながら怯えているありすに圧し掛かるとその体の上で何度も飛び跳ねる。 「ゆ!!だめだよ!!どうじでぇぞんなこどずるのぉ!!!!!」 俺に暴行を加えられているうちに口からカスタードでも吐いてしまったのだろう、ついさっきまで暖かかったありすの体はすっかり冷えきりいくら体当たりをしても微動だにしない屍になった。 「ゆぅあぁぁぁああ!!!!!ありじゅのあがじゃんがぁ!!!!ゆべぇぇえぇえ!!」 母ありすはお腹の中の我が子が姉妹を虐め殺すという異常事態にショックを受けて、口からカスタードを吐き出しているようだ。 おかげで周りのカスタードが冷たくなってゆっくりできない、もう少し中にいる可愛い赤ちゃんのことを考えて行動したらどうだ? 「ゆぅぅ…なんで‥なんでありしゅのあがじゃんがぁ…」 母ありすはカスタードを吐きながら虚ろな目で自分に降りかかった理不屈な出来事を誰ともなしに問いかける。 まぁ、恨み事はあの閻魔さんにでも言うんだな、俺を君の腹の中に転生させた彼女にね。 俺は腹の中にもう一匹いる筈の姉妹を殺そうとカスタードの中を泳ぐ。 「ゆぐぅ!!ゆっぐりやめでぇ!!」 母ありすは身重の体で巣の中の木の根に体当たりをする。 姉妹を殺した俺を殺す気の様だ、おお怖い怖い。 しかしお前の腹の中にはもう一匹子供がいるだろ?そいつまで殺してしまうぜ。 俺は未だ種類さえ分からない姉妹を殺すのは次の機会にすることにした、今殺してやって自分の腹の中に姉妹を皆殺しにした悪魔が一匹いる恐怖を味わわせてやるのも良い。 しかしそれではあまりに地味だどうせ最後の虐待になるんだ、最後の一匹を殺すのならばもっと相応しい時期に派手に嬲り殺しにしてやりたい。 「ゆぅ‥なんでどぉじでありじゅのあがじゃんがぢんじゃうのぉ!!!!」 カスタードを口から流しながらありすは泣き喚く。 食料集めから母まりさが帰ってくるまでありすは泣き続けた。 「ゆっくりただいま!!ありすげんきにしてた?」 「ゆぅ‥まりさぁ…あがちゃんが」 「どうしたのあかちゃんになにかあったの?ゆっくりせつめいしてね!!」 母ありすは母まりさに自分の体内で起こった出来事を話した、しかしお腹の中の赤ちゃんが姉妹を殺すなんて話は信じられるはずがない。 「ありすなにいってるの!!じょうだんでもまりさおこるよ!!」 「ゆぅ~!!ちがうわじょうだんじゃないわ!!!とかいはのありすはうそはつかないわ!」 「まりさのあかちゃんはそんなゆっくりしないこじゃないよ!!!おかしなことをいうありすはゆっくりしてないよ!!!あかちゃんのためにもゆっくりしてね!!!」 母まりさは質の悪い冗談に付き合わされたと頬を膨らませて怒りだした。 「ゆぅ‥でもあかちゃ」 「うるさいよ!!!まりさのあかちゃんはゆっくりしたいいこだよ!!!へんなことばっかりいってありすはあかちゃんがかわいくないの!?」 「ゆぅ‥とってもかわいいよ‥」 「それならばかなこといわないでね!!ありすのおなかのなかにはあかちゃんがいるんだよ!!へんなことばっかりいってあかちゃんがないてるよ!!!」 まりさは顔を真っ赤にして頭から湯気を出しながらありすを睨みつける、怯えるありすを見るとまりさはいくらか表情を和らげて語りかける。 「ゆ!ありすがゆっくりできないとあかちゃんがゆっくりできないよ!ともかくごはんをたべてゆっくりしてね!!」 「ゆぅ‥わかったわ!ゆっくりいただきますするわ!」 「ゆぅ~♪きょうはきのみとやくそうさんをとってきたよ!あかちゃんもありすもゆっくりできるとってもゆっくりしたごはんだよ!!ゆっくりたべてね!!」 ありすは強張った笑みでゆっくりと口の中に食事を放り込んでいく。 「む~しゃ‥む~しゃ‥しあわせ~」 「ゆっくりたべてね!む~しゃむ~しゃ!しあわせ~♪」 ありすの隣で嬉しそうにご飯を食べてゆっくりするまりさとは対照的に、ありすの表情は沈んだものでしあわせ~と口には出したがありすは全くゆっくりできないでいた。 (ありすのおなかのなかはおかしいよ‥あかちゃんがゆっくりしてくれなくてくるしいよ‥あかちゃんがあかちゃんをころしちゃったよ‥まりさがしんじてくれないよ!) 体の中心のカスタードはぎりぎりと痛みありすを苦しめる、突如として湧き上がった吐き気に脂汗をかく。 「ゆぅ‥うぅぅ‥」 「む~しゃ!ゆゆ?どうしたのありす?ゆっくりできてないよ!!」 「だいじょうぶだよ‥ありすはだいじょうぶだよ!」 「だいじょうぶなんだね!まりさびっくりしたよ!ゆっくりたべようね!」 ありすの番いのまりさは優しくて狩りが上手なゆっくりだったが、少々短気でかなり頭の悪いゆっくりだった。 まりさに相談してもなんの解決も望めない、ありすは頼りないまりさに小さなため息を一つつくと黙々と食事を続けた。 「すーり♪すーり♪ありすあかちゃんのちょうしはどう?いつうまれるの?」 「ゆぅ~もうすぐよ‥」 「ゆっゆ!!いまからとってもたのしみだよ!!」 頬擦りをしながら嬉しそうにお腹の中の赤ん坊のことを聞いてくるまりさにありすは上の空の生返事をしながら時間が過ぎた。 「ゆぅ~そろそろおねむのじかんだね!!ゆっくりおやすみなさいしようね!」 「わかったわ!ゆっくりおやすみなさい‥」 「ゆぴー‥ゆぴー」 「……」 狩りに出て体が疲れたのかすぐに寝息を立て始めたまりさ、自分と赤ちゃんのために頑張ってくれているのは分かる、しかし自分のことを信じてくれなかったのがとても残念だ。 自分が寝ている間にまた赤ちゃんが赤ちゃんに殺されるかもしれないと思うと怖くてたまらない。 「ゆぅぅ‥ゆぅぅ‥」 泣き声を噛み殺しながらありすは震えていた、ありすは眠りに落ちた後も体内の赤ちゃんが今まで見た事のない恐ろしい何かに虐待される夢にうなされた。 「ゆぅ~ん…ゆっくりねてすっきりだよ!おはようありす!!」 「ゆぅ~…」 翌朝まりさと一緒にありすは目を覚ました、まりさはにこにこと本当に幸せそうに笑っている、対照的にありすは顔色が悪く髪の艶も良くない相当精神的に参っているようだ。 「ゆゆ?げんきがないよだいじょうぶ?」 「だいじょうぶよ‥まりさはゆっくりごはんをとってきてね」 「ゆぅ~…」 ありすの只ならぬ様子に気づいたまりさは今日は一日そばに付いていてやることにした、ありすに優しく微笑みながら気晴らしを提案してみる。 「ゆゆ!!きょうはきのうのごはんがまだあるからごはんはとってこないよ!!それよりまりさはありすといっしょにおそとでひなたぼっこがしたいよ!!」 前日から様子のおかしかったありすを気遣っての判断だ、一度外の風に当ててやれば気も晴れるだろうとまりさは考えた。 「ゆぅぅ‥それどころじゃないわ‥」 小さく呟いたありすだが、まりさの言うように一度外でぽかぽかのお日様を浴びてゆっくりしたくなってきた。 ゆっくりは基本的に自分がゆっくりすることを求める生き物だ、お腹の中の心配をして苦しくなるより何も考えず楽しくゆっくりしたいと考える生き物なのだ。 ゆっくりの中でも賢いありす種の彼女でもカスタードに刻み込まれた本能に逆らうことはできなかった。 「ゆぅ…まりさがどうしてもっていうならいってあげてもいいわ!」 「ゆゆ!!きまりだね!!きょうはまりさとありすとあかちゃんでゆっくりすごそうね!!!」 ありすは大きく重くなった体を揺らしながらゆっくりゆっくり巣の外に出て行った。 暫くぶりに頬を外の風が優しく撫でる、ありすは体を伸ばしたり頭を振って外の空気を吸い込む。 後ろから今日のお弁当を帽子に詰めたまりさが跳ねてくる。 「ゆぅ~とってもいいおてんきだね!!」 「ひさしぶりのおそとはとってもきもちがいいわ!!」 二匹は嬉しそうにお喋りをしながら巣の近くにある空き地に向かって這いずっていく。 二匹は空き地にある切り株の傍でゆっくりし始めた。 ありすは暫くぶりの外での日光浴にとてもゆっくりとした表情でまりさと一緒にゆっくりする。 昨日自分がひどく苦しんだ何かが頭の中からすっと消えていく心地よい感触を楽しみながらありすはまりさと談笑を続ける。 「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー♪」 「とってもとかいはなあじだわ!!おなかのなかのあかちゃんもしあわせー♪だよ!!」 午前中一杯ゆっくり遊んでお昼のお弁当を食べる頃にはありすの悩み、体内の赤ん坊の異常行動はすっかりカスタード製の脳から締め出され記憶の片隅に埋もれてしまっていた。 「そろそろおうちにかえろうね!!」 「うん!おうちにかえったらゆっくりしようねまりさ!!」 それから三日間の間はありすの体には何の異常もなく体内の子供達はすくすくと成長していった。 ありすは巣の中でゆっくりくつろぎながらお腹の中の赤ちゃんに話しかけたり子守歌を歌ったりしてゆっくり過ごした。 その体内に残虐な餡子に飢えた殺戮者が息をしている事も忘れて、母ありすは普通の妊娠をしたゆっくりとしての生活を送った。 四日目の夜、ありすはまりさとの会話の最中にお腹がむずむずし始めた。 「ゆゆ!!おなかがむずむずするわ!!」 「ゆぅ!!ほんと?あかちゃんがうまれるんだね!!」 「ゆうぅ!!おなかがへんだよ…だんだんあかちゃんがでてくるよ!!」 でっぷりと肥え太った母ありすの顎下の穴からは元気な赤ちゃんが顔を出している。 「ゆゆ!!あかちゃんのおかおがみえてるよ!!」 「ゆぅ…まりさもうすぐあかちゃんがうまれるよ!!ゆっくりうけとめてね!!」 「わかったよ!ありすはあんしんしてあかちゃんをうんでね!!」 母まりさは生まれてくる赤ちゃんのクッションになろうとありすの真正面に陣取る、ありすのお腹の中のゆっくりはとっても気持ちよさそうな顔をしている。 「ゆぅ!!だだめよ!!あかちゃんもうすこしまって!!」 突如母ありすの挙げた悲鳴にまりさが反応する、母ありすは先までの苦しそうではあるが同時に気持ちよさそうだった表情を困惑と焦りで染め上げている。 「どうしたのありす!?だいじょうぶ?」 「あかちゃんが…うう…これじゃうめないよ!!!」 「ゆゆ?あかちゃんはあたままででてるよ!!もうすこしだからがんばってね!!!」 「あかちゃんがふたりでそうになってるんだよ!!!」 「ゆ?」 母ありすの必死の訴えに母まりさは不思議そうに首をかしげる、赤ちゃんが二人一緒に出てくるなら二倍ゆっくりできるのに何をそんなに焦って怯えているのかと。 母ありすの慌てる理由はたった一つしかない産道に一匹目がまだ生まれていないのにも関わらずもう一匹の赤ちゃんが入ってきたことだ。 体内妊娠型のゆっくりは赤ちゃんを産む時、産道を全力で窄めて産道から顔まで出ている子供を射出する。 もしもその際二匹のゆっくりが産道の中にいる場合、顔が出ている先頭の赤ゆっくりを生む為に産道を窄めた場合中の赤ゆっくりは潰れて死んでしまうのだ。 「あかちゃんがふたりどうじにうまれるんだね!!まりさはしっかりうけとめるからあんしんしてね!!」 「そうじゃないわ!!!うぅぅ!!うごかないでね!!」 「ゆっくりわかったよ!まりさはうごかないよ!!」 「まりさにいってないよ!!!ありすはあかちゃんにいってるの!!!!!」 さてまだ姉が生まれていないのに産道に潜り込んできたせっかちな赤ゆっくりは虐待ゆっくりだった。 真っ暗な光の無い産道を体を圧迫されながらも虐待ゆっくりは前に前に進んでいく、産道の中はとても温かく眠気を誘うものがあるが虐待ゆっくりは眠気を振り払ってひたすらに産道を進む。 目指すは目前で無防備な姿をさらしている姉ゆっくりの背中だ、脳裏に一度目の転生で味わった姉妹の餡子の味が蘇る。 あの蕩ける様な柔らかい甘さ…生まれる前の姉の柔らかくてすべすべの皮、噛み破ったその先にある至福の味に虐待ゆっくりは涎を垂らす。 虐待ゆっくりは母ありすと母まりさのコントの様な掛け合いを楽しみながらゆっくり産道を進んでいき柔らかい壁にぶつかった。 壁はとても温かくてすべすべでときおりプルプルと震えている、ついに姉ゆっくりに虐待ゆっくりは到達した姉の柔らかい皮を一嘗めするとまだ小さい歯を姉に突き立てる。 「ゆぅ~!!まりさじゃはなしにならないわ!!ちかくのぱちゅをつれてきてね!!」 「ゆゆ?どうしてまりさはあかちゃんがうまれるところみたいよ!!あかちゃんをうけとめたいよ!!」 「あかちゃんがたいへんなの!!!まりさがかえってくるまでがまんするからはやくいってきて!!!!!!」 母ありすの剣幕に押され渋々巣から出ようとした瞬間、母ありす正確には母ありすの産道でゆっくりしているはずの我が子の様子に目を見張る。 「あかちゃんがいたそうにしてるよ!!!!!!へんだよ!!へんだよ!!!」 「ゆぅ!?なにいってるのまりさあかちゃんがいたそうなかおしてるってほんと!!?」 「ほんとだよとってもくるしそうなかおしてるよ!!!」 母まりさの緊迫した血の気の引いた真っ青な表情に母ありすは自分の体に数日前に起こった異常事態、我が子の子殺しを思い出す。 「ゆあぁぁぁっあぁぁあ!!!!!」 「ありすどうしたのおちついてね!!!」 「だずげであがじゃんがあがじゃんをいじめるどっ!!!ゆっぐぢだずっげて!!!!!」 半狂乱になって騒ぎ立てる母ありすに母まりさはすり寄っていく。 「ゆっくりおちついてね!!!」 「ゆがあおあぁぁぁぁぁぁああっぁ!!!!!!!だずげでぇえぇ!!!だずげでぇいえ!!!!!!」 「ゆばっ!!うぅ…」 出産中のゆっくりとは思えない馬鹿力でまりさを跳ね飛ばすありす、床に叩きつけられた母まりさは二つの愛する顔を改めて見てみる。 恐怖と混乱で暴れまくる母ありすの怯えきった顔、ありすから生まれようとしているにもかかわらず顔を苦痛を歪ませて口から少量の餡子を垂らしながら涙を流す我が子。 群れの中でも餡子の足りていない事で有名なまりさも、この状態が自分達の力ではどうにもならない異常事態だということが分かった。 「いいますぐぱちゅをよんでくるよ!!ゆっくりまっていてね!!!」 愛しい妻と我が子に背を向けると母まりさは巣から出て行く、焦りと恐怖で縺れる底部を叱りつけながらまりさは草原を駆ける。 一方巣の中に一匹になったありすは大声で叫びながら両目から涙をあふれさせていた。 赤ちゃんが苦しんでいる赤ちゃんが産めない赤ちゃんを助けられない、この三つがありすの頭の中をぐるぐる回って正常な思考を根こそぎ奪っていた。 「なんでぇ!!!なんでぇえぇええ!!!!!!」 ありすは大声で何かに向かって問いかけながら口から液状のカスタードを流す。 血走った眼で大声で泣き叫び声をあげ続ける母ありすとその体から顔を出し苦痛に呻き声をあげる赤ゆっくり、数分前までの幸せなゆっくりプレイスは地獄の様相を呈していた。 そしてその地獄には苦しむ亡者や罪人だけがいる場所ではない哀れな犠牲者をを責め嬲り苦しめる悪魔、虐待ゆっくりがいた。 虐待ゆっくりは母ありすの絶叫を楽しみながら姉の餡子を口にしていた。 歯で噛み裂いた傷口から尖らせた舌で餡子を掬いとっては口にする、餡子を食べるごとに体中に広がる異様な幸福感に虐待ゆっくりは戸惑っていた、生まれる前のゆっくりがまさかこんなに甘く味わい深いとは。 壊れかかった母ゆっくりのなんともいえない耳触りの良い悲鳴、抵抗することもかなわず徐々に体を削られていく赤ゆっくりの体の震えや温度の変化、俺は今最高の気分だ。 そんな虐待ゆっくりの視界が不意に歪み体中に激痛が走る、体がまるで動かず口からなにか温かいものが出て行く。 地獄に行く前にもう一口と虐待ゆっくりが伸ばした舌が赤ゆっくりに届く事はなくそのまま母ありすの体内で餡子をまき散らすことになった。 「やめでぇぇぇええ!!!!」 母ありすは絶叫しながら虐待ありすに体を齧られていた赤まりさを射出した、これ以上は赤ちゃんの体が持たないと判断してだ。 産道にいたまりさの妹がグチャと音を立てて潰れる音がする、勢いよく産道から飛び出た赤まりさは背中から餡子を流しながらもがいている。 「ゆびゅ!!ゆぁ…ぁぁ」 赤ちゃんをみんな元気に産みたかった赤ちゃんをまりさに受け止めてほしかった、赤ちゃんの舌ったらずなゆっくりしていってね!!に元気にゆっくりしていってね!!を返してあげたかった。 それなのに母ありすはたった一人で怖くて苦しい思いをして大けがをした赤ちゃんを産むためにもう一人の命を奪ってしまった。 そうして産んだ赤ちゃんも背中からぼたぼた餡子を流しながら呻いている、あれじゃもう助からない。 「ゆぁあぁが!!!!!うぅゆぇえあぁぁあああああ!!!!」 母ありすは口からカスタードとともに魂の断末魔を上げる。 体の中心に焼けるような痛みと絶望を感じながら母ありすは壊れた。 「ゆぁ…ゆぅ…」 赤まりさは背中に感じる焼き鏝を押し当てられたような灼熱の痛みを感じながら口から餡子を吐き出す。 産道から外の世界に出て行こうとするとき感じた背中の痛み、徐々に無くなっていく自分の大切な何かに苦しみながらもなんとか生まれる事が出来た。 もう一人の母の柔らかくて温かい体に受け止めてもらえると信じ硬い地面に体を叩きつけられる激痛を味わい、自分をお腹の中で育ててくれた母の嘆きと苦悩に満ちた叫び声を耳にしながら赤まりさは思う。 どうして喜んでくれないのと、体中に感じる苦しさに体を痙攣させながら赤まりさは口をぶるぶると震わせる、背中の焼けるような痛みとは対照的に赤まりさの体は冷えはじめていた。 「ゆぅ…ぅ」 最後に生まれる前にお母さん達に言ってすーりすーりしてもらおうと思っていた言葉を喋ろうとする。 「う…ゆぅ…」 思い出せない‥まりさはおかあさんになんて言いたかったんだろう? 赤まりさは急激に重くなってきた瞼を閉じるその瞬間までそのことを考えていた。 BYゆっくりな人 このSSに感想を付ける
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「「ゆっくりしていってね!」」 ハッキリと、大きな声が畑の近くで聞こえた。声のする方へ近づいてみるとそれは二体の生き物だった。 畑の脇の道にいた二体は人語を話してはいるがどうみても人間やオウムの類ではなかった。 二体に共通する特徴は、バスケットボールほどの大きさの饅頭であるということだろう。 饅頭が生物なのが矛盾しているが、そうとしか言いようのない形であり、また中身も餡子なのでこれが適切だと思う。 左の方の饅頭は、黒のとんがり帽子と長い金髪を持ち、右の方は赤を基調としたリボンを付けていた。 私たちは彼女たちの総称を便宜上、「ゆっくり種」と呼んでいる。由来は先ほどの挨拶だ。 そしてこの二体はそのゆっくりの中でもポピュラーな種類である。左が「まりさ」で右が「れいむ」だ。 自分たちでそう名乗っている以上そうなのだろう。 「やあこんにちは。ゆっくりしてるよ。君たちもゆっくりしてるかい?」 「「ゆっくりしてるよ!!!」」 元気そうに跳ねる二体。私は持ってきたチョコを彼らにプレゼントした。ゆっくりは総じて甘い物が大好きなのだ。 「「ゆー!ゆっくりたべるよ!・・・ゆっくりー!」」 嬉しそうに頬張る二体。するとどこからか別のゆっくりがやってきた。 「チーンポ!」 「とかいはなありすとゆっくりしていってね!!!」 「うー♪うー♪おやつー!」 チョコの匂いに釣られてやってきたのは、みょん、ありす、れみりゃの三体だった。 れみりゃは他のゆっくりと違い人の体に近い体格をしている。 周りに幽霊のような物が浮かんでいるのがみょん。金髪にカチューシャを付けているのがありすだ。 「君達の分もあるよ。はいどうぞ。」 そういって残っていたチョコを渡した。これ以上増えたら流石に足りなかったが増えなかったので安心した。 食後、彼女たちは近くの野原に移動して遊んでいた。 ありすは、花を千切って髪飾りを作っているようだ。細かい作業を口でこなせるのが不思議である。 みょんとまりさは斜面を転がったり登ったりしていた。生首が転がっているようで、結構不気味でもあるが 本人たちの顔は幸せそうである。 れいむはれみりゃに抱っこされながら空を飛んでいた。 「ゆー、おそらをとんでるみたいー!」と楽しそうにしていた。 近くの森には結構な数のゆっくりが居るようだが、たいして問題にはなっていなかった。 別に作物を荒らすわけでもなく、森の食べ物を食いつくこともなく、何故か野生動物にいっさい襲われない彼女たちを 無下に扱う村人はいなかった。 それどころか、彼女たちは畑の雑草を刈ったり、老人の話相手や子供たちと遊んでいたりと、友好的な関係を築いていた。 私も初めてみた時から彼女らの虜になっていた。語彙こそ少ないが、彼らは的確に自らの思いを口にし、 仲間同士で仲良くしている姿は愛らしい子供のようだった。 夕方すぎになり私も家に帰ることにした。 「「ゆっくりさようならだね!!!」」 れいむとまりさ達はそういって森へ帰って行った。私も夕食のメニューを考えながら帰路についた。 それが彼女たちとの最後の会話だとも知らずに。 夜の森、そのど真ん中でゆっくり達は寝ていた。数は数十匹ほどだろうか。 毛布代わりに葉っぱをかけているだけで全く無防備である。 だが彼女たちは他の生き物に襲われることはない。正確に言えば、見た目と違い襲ってくる野生動物を撃退できる程度の力を有しているからだ。 しかしそんな彼女たちにも魔の手が迫っていた。その手は彼女たちを掴むと、そのまま袋に入れていった。 そうして全員を入れ終えた後、その人影はどこかへ消え去っていった。 郊外にひっそりと建てられたとある施設。そこはとある会社の倉庫だった。 元々は別な目的で作られたようであるが、紆余曲折あって今はとある金持ちの所有物となっていた。 そこへ先ほどのゆっくり達が運ばれてきた。彼女たちは数ある倉庫の一つへ連れてこられると、そこへ無造作に放り込まれた。 流石に振動で目を覚ましたようで、彼女たちはキョロキョロと辺りを見回していた。 そこへ何人かの若者が入ってきた。 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 そう言ってその男たちはポヨンポヨンと近づくゆっくり達。男たちはそのうちの二体を掴みあげた。 「ゆ?ゆっくりもちあげられたよ!」 どうやら抱きかかえられたと思ったらしい。れいむは喜んでいた。 掴みあげた男は、れいむを観察するとそのまま床に叩きつけた。 ベチィ!っと床に叩きつけられたれいむは、何が起きたのかわからずただただ、泣き続けていた。 「ゆー!ゆっくりできないよ!ゆっくりいたむよ!」 「「「「ひどいことはゆっくりやめてね!!!」」」」 他のゆっくり達から抗議の大合唱を受けたが、特に気にせず男たちは話していた。 「饅頭のくせに潰れないのはおかしいだろ。常識的に考えて・・・」 「ていうかこいつら生き物なら、どうやって個体を増やしてるんだ?生殖器なんぞ見当たらないが」 「そもそも食った物はどこへ行ったんだ?」 「ていうか甘いものが好きなら、共食いしそうだぞ。饅頭だし。」 「とりあえず実験してみようぜ。なにせ数は多いんだ。気を使わなくて済む。」 男たちはそれぞれの実験のためにゆっくり達をそれぞれ連れて行った。 ある男はゆっくりの繁殖について実験していた。当初は分裂でもするかと思ったが流石にそれはないと判断した。 しかし体のどこにも繁殖に使われそうな物はなかった。仕方がないので体を無理やり触れさせてみた。 「いたいよ!ゆっくりやめてね!」 「ありすもいたいわ!ゆっくりやめてね!」 男の手でゴシゴシと二人はすり合わされていた。まりさの後ろからありすを押し続けていた。 かれこれ30分は経過した。一向に変化はない (やはり他の動物みたいな生殖器はないのか・・・隠れてる説も考えてみたが無駄だったようだな。) 男は諦めて次の実験をしようとした瞬間、突如、ありすから男性器に似た物が文字通り生えてきた。 「ゆー!なにこれ?わからないわ!」 まりさの方を見てみると何か穴が開いていた。どちらも先ほどまではなかったものだ。もしやと思い無理やりそこへねじ込んでみた。 「ゆー!ゆっくりできない!ゆっくりさせて!」 「ゆ!ゆ!・・・ゆっくりー!」 入れてすぐにありすは絶頂に達したようだ。 しかしそれだけで何も起きなかった。しかし男の眼は輝いていた。 (妊娠はしなかったが・・・生殖活動を行える事がわかっただけでも大きな進歩だ。次は妊娠の方法だな。) 男は今の出来事を記すためにパソコンに向かい合った。 別な男はゆっくりの食事について調べていた。基本雑食であるが、特に甘い物が大好きなのがゆっくりである。 ならば辛い物はどうなのだろうか。甘党な連中のことだ。辛さは苦手だろう。 ためしに一匹のちぇんにキムチを食べさせてみた。 「からいんだよーたべれないよー!」 予想通り苦手なようだ。しかし大した変化もなく、男はつまらなそうな顔をした。 (せめて辛さにのたうち回って死ぬとかしたら面白いのにな) そう思いながらもう一回キムチを食べさせてみた。すると 「からいよー!ゆっくりできないよー!たすけてー!」 そういって暴れ出した。手から落ちたちぇんがそのままのたうち回って死んでしまった。その顔はまるで窒息死でもしたかのような顔だった。 先ほどまではただ嫌がってただけなのに何故・・・考えてもわからないのでとりあえず別な実験をすることにした。 甘いもの好きなら共食いはするのだろうか。 手始めに適当なゆっくりをテーブルに置いた。まりさだった。 「ゆっくりしていってね!!!」 純粋無垢な目をこちらに向けていた。 俺はそのまりさをいったん放置して、近くのれみりゃを抱きかかえて椅子に戻った。 「う~♪だっこー!」 嬉しそうにこちらにひっつくれみりゃ。俺はそのれみりゃに対して 「お腹すいてる?甘いのでも食べる?」 と聞いた。すぐさま 「うー!たべるー!」と返事をしたので、れみりゃは床に下ろしてテーブルの上のまりさを持った。 「あーんして。ただし眼は瞑るんだよ。」 「うーーーーーん」 大きく口を開けたれみりゃの口の中にまりさを入れる。そして 「はいとじる。」 グシャっという音が響き渡った。どうやらまりさは即死のようだ。断末魔さえあげなかった。 「うー!おやつ・・・うー!まりさがくちにいるー!どうしてー?」 どうやら事態を把握できてないようだ。まあそれならそれでいい。 餡子の味を覚えたなら、おそらく他のゆっくりも遠慮なく食える気がする。いやまあ普通に考えれば仲間を自発的に食ったりはしないだろうが なのでこれは俺の希望にしかすぎないのだが。 「れみりゃ?饅頭はおいしかったかい?」 「うー!おいしかったー!」 「そうか。ならあそこにいる饅頭も食べていいよ。」 さあどうでる。多分食わないだろうが、個人的には食べた方が面白い。 「うー・・・・?」 迷っているのか、それとも何も考えてないのか。表情からはいまいち読み取れない。だが次の瞬間 「うー!おやつたべるー!」 近くにいたれいむを掴んでかじった。 「ゆっくりやめてねれみりゃ!ゆっくりできないから!」 れいむの訴えもむなしく食べられてしまった。 結局このゆっくり達はれみりゃに全員食べられてしまった。しかしなんでこいつらは逃げなかったのだろうか。 結局この倉庫では全滅するまで若者たちは思い思いの実験を楽しんだ。そのあとも若者たちは実験を繰り返し それらをブログ等で発表。たちまち話題となり、全員捕まった。森への不法侵入である。 そしてその発表がネットで広まると、ゆっくりに対して様々な情報が飛び交った ゆっくりは野生動物と同じくゴミ箱を荒らすだの ゆっくりの排泄物も餡子だの ゆっくりは植物のように繁殖するだの 車に似た物に乗って高速道路で100kmを出しただの。 優しそうに見えて実は口が悪いだの 根拠のない情報が飛び交った。しかしその情報は数日後に現実になった。 それから数年後、今はゆっくりは害獣の代名詞のような扱いだった。 畑を荒らし、ゴミ箱をあさり、他人の家にかってに住み込んでおうち宣言を行い あげく住人には暴言を吐く。なまじ知能と言葉を持ってるが故にそこいらの動物などとは 比べ物にならないほどタチが悪かった。 私はそんな状況を哀しんでいた。どうしてゆっくりはこうなったのか。ふと一軒家を覗いてみると、そこにはれいむとまりさ そしてその子供たちが数体居た。彼らは住人であろう男に向かって 「ここはれいむたちのおうちだよ!ゆっくりできないおにーさんはでていってね!!!」 「おやつをもってくるならいるのをゆるしてあげるんだぜ!!!」 男はため息をつくと、傍に居た犬の首輪をはずした。 「食べていいぞ。」 すぐさま犬はゆっくり達に襲いかかった。まずはまりさの帽子が奪われた。 「なにするんだぜ!ゆっくりできないばかいぬはとっといぎゃああああああああああ!!!」 頭から噛まれたまりさは、そのまま二三回地面に叩きつけられた。金髪の髪が餡子で汚れていた。 「やべるんだぜぐぞいぬ!!!!ぐぞじじい゛ぼびでないでどっどどだづげろ゛お゛お゛お゛!!!」 「まりさ!しっかりしてね!いまたすけるよ!」 「おとーしゃんいまたちゅけるよ!」 他の家族が必死に犬へ体当たりをする。しかし効果は全くない。 そうこうしてるうちに子供まりさの一匹が「そろーり、そろーり」と言いながら庭から出て行こうとしていた。 しかしそれに気付いた親れいむが止めようとする。 「どうじでがぞぐをみづででに゛げよ゛う゛どじでるのお゛お゛お゛!!!」 「うるちゃいんだぜ!まぬけなおとーさんがわるいんだぜ!」 そういって逃げようとしたまりさ。しかし何者かに上から押さえつけられてそれは失敗に終わった。 「ゆ?・・・れ、れみりゃだああああああああああ!!!!ばりざはおいじくないィ!」 命乞いをする暇もなく、半分にされたまりさ。それを美味しそうに食べるれみりゃ。 口の周りを汚しながら 「う~♪あまあまおいしいどぉ~♪おぜうさまにはえれがんとなちょうしょくがひつようだどぉ~♪」 そう言いながら次々とゆっくりを食していった。 「でびりゃはゆっぐじできないいいいいいい!!!!」 「ばりざをだづげるんだぜええええ!!!!」 「でいぶをゆっぐじざぜないおぎゃーじゃんだぢはじねええええええええ!!!!」 別のところでは学校の花壇の花を食している家族が居た 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 「ときゃいはおはなさんね!ありちゅがゆっきゅりたべちゃあげるわ!」 そこへ学生達が近づいた。 「ヒャッハー!虐待だー!」 そのあとは見てない。 今ではよく見られる光景であった。 私はとある大学へ来た。そこには世界でも有名なゆっくり研究の第一人者がいる。彼の発見とやらを取材しに来たのだ。 研究室へ入ると初老の男が出迎えてくれた。 挨拶もそこそこに、私は今回の発見を聞くことにした。大学時代の恩師の友人である彼は、未だ発表されてない発見を 私だけに教えてくれるそうだ。しばらくは記事にしないという条件だが。 「これを見て下さい。」 男が指をさした方には、二つのケースがあった。そこには二体のれいむがそれぞれ入れられていた。 「右は野生のゆっくりを捕まえたものです。左は研究所で外には一切触れずに育てたものです。左と会話してみてください。」 右のれいむはこちらに気づくと 「ゆ!れいむはおなかすいたよ!ばかなじじいはとっととごはんをもってきてね!!!」 と言ってきた。対して左はと言うと。 「ゆっくりしていってね!!!」 今では滅多に聞けない、あの挨拶をしてきた。だがそれだけである。 「しかしこれが何か?挨拶だけなら、ブリーダーの育てたゆっくりなら・・・」 「では、ちょっと中身を見てみましょうか。」 そういって教授は左のれいむの顔を少し引きちぎった。」 「ゆ!はかったねおじーさん!」などと言いながら引きちぎられたれいむ。私は餡子が漏れるとばかり思っていたが 傷口からは何も起きなかった。 「よく見てください。」 私は傷口をみた。そこには餡子はおろか何もなかった。ただ白いだけだった。 なんだこれは?全く訳がわからない。どうして餡子がないのだ。 「隣へいきましょう。」 そういって教授は左のれいむだけをケースから取り出し。隣の部屋へ向かって言った。 右のれいむは「はやくここからだせ!ださないとれいむがゆっくりできなくさせるよ!!!」と言っていた。 そこは今まで見たこともないゆっくりだらけだった。 いやれいむやまりさは見たことがある。 しかし私の知っている彼女たちではなかった。 まりさは滑るように移動しながら院生に餃子を無理やり食べさせていた。れいむはひたすら何かを運んでいた。 れみりゃは「うー!」と言いながら手から何やら不思議な弾を出し、きめえ丸はもはやなんだかわからない生き物になっていた。 「どうですか?ついでにあのまりさとれいむは銃弾でもビクともしませんよ」」 「どうですかと言われても・・・このゆっくり達は一体?」 「元は野生の赤ゆっくりでしたよみんな。育て方も普通の育て方をしたまでです。ただしちょっとした事をしましたが」 「ちょっとした事?」 「正確には思っただけですね。たとえばあのれいむ。世話をする人間は、あのれいむと接する時必ず、『これは理解不能の不思議生物だ』 と思いながら接するように命じました。」 「思う・・・ってホントに思っただけですか?」 思わず聞き返した。 「ええ。そうやって何回か試したうちに一つわかりました。・・・おそらくゆっくりは人間の望みどおりに変化するのではないかと。」 「へ・・・変化ですか?」 「例えば、『このれいむは1m上から落ちただけで死ぬ』と思いながら育てるとしましょう。世間一般で普通と言われているれいむならば 1mからでは死にません。しかしそう思いながら育てていったれいむは、本当に1m上から落とされただけで死ぬんですよ。 これなら、未だにゆっくりの生態に関する情報が乱立してる事も説明がつきます。人の『こうなってほしい』という思いに 影響を受けるのならば、一人一人違うゆっくりが生まれるのですから。口の悪くて脆弱なゆっくりも、礼儀正しいゆっくりも その人しだいということでしょう。」 教授の言ってることは最早あらゆる法則から外れていた。しかしそう言われるとそうかも知れない。 「今の世間の一般認識はゆっくり=害獣という認識が強いです。おそらくそれによって大多数のゆっくりがあのようなのになったのでしょう。 思い込みしだいでは饅頭ですらなくなると言うのに。」 ふと数年前の記憶が蘇った。あの頃の私はゆっくりが饅頭であり、生物であり、甘い物が大好きだと思っていた。 いや、思っていたからこそそうなったのか。 「ここに来た記念にこれを差し上げましょう。」 帰り際、そういって教授から箱を手渡された。中を覗いてみると、小さなれいむとまりさが眠っていた。 スヤスヤと寝息を立てている姿は可愛らしかった。 「貴方も体験してみるといい。彼女たちがどういう風になるかは、貴方しだいなのですから。」 そういって教授は研究室へ戻っていった。 私は箱を見ながら、あの野原の事を思い出した。 ふと、二人が目を覚ましたのがわかった。私はこういった。 「ゆっくりしていってね!!!」 【あとがき】 色々とアレな設定ですが。まあ適当に読んでください byバスケの人 過去作 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!1 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!2 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!3 お兄さんとドスれいむ 鬼意屋敷殺人事件 どすの加工所 幻想樹の迷宮 幻想樹の迷宮Ⅱ 徹夜でゆっくりしようぜ! 徹夜でゆっくりしようぜ!2 地震 ゆーうーかい ゆーうーかい 解決編 ゆーうーかい番外編 ~ゆっくりプレイス~ ゆっくりパニック れみりゃをむーしゃむしゃー 帽子のないれみりゃ ゆっくりプレイスを求めて 水上レース このSSに感想を付ける
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前回のfuku1364.txt『ゆっくりハンターの生活』の続きです。 こっちだけでも読めないこともないですが、出来たら前作を見てからご覧になってください。 ゆっくりハンターの生活2 朝よりも多少雲が出てきた昼下がりの午後。 阿求ちゃんとの楽しい昼食を終えた私は、ハンターとしての仕事を再開する。 「ハンターさん、午後はどうするのですか?私は狩りに行きたいです!」 阿求ちゃんが、メイスを高々と構えてそう意気込む。 朝は比較的穏やかな作業だったから、彼女には刺激が足りなかったのかもしれない。 私は、仕事用の手提げカバンを持って彼女に笑いかける。 「ええ、今日の午後は狩りに行くわ。一緒に依頼主のところまで行きましょうね」 「了解です。私のモルゲンで叩き潰して見せます」 「……ずっと気になっていたんだけど、モルゲンってそのメイスのことかな?」 柄の先端に歪な突起を生やした鉄の塊がついているだけという、か細い少女には似合わない無骨なメイス。 鈍い光を輝かせているそれはいかにも禍々しく、今まで殺されたゆっくりたちの怨念がこめられているようだった。 彼女はそのメイスを誇らしげに構えて、うっとりした目でそれを見ている。 「ええ!数々のゆっくりのあんこを吸ってきた、私の自慢のメイスです。 モルゲンステルン(トゲ付きメイス)タイプのものだったので、モルゲンと名づけました」 「阿求ちゃん、張り切るのはいいけど室内でそれ振り回さないでね」 「すみません。でも私の内から出るパッションが止まりません」 無闇に逸る阿求ちゃんをなんとかなだめて、私達は依頼主のところへ向かった。 そこまで行く途中の道で、私の隣を歩きながら持っているメイスをぶんぶんと振り回す少女はひどく危なっかしい。 怪我させないよにしっかりと見ておく必要があるだろう。 「えーっと、……ここかしらね」 私は手に持った依頼書を見て、目的地が目の前にある家で正しいか確認する。 前に何度か依頼が来たので間違いないと思うが、念のためだ。 「おじゃまします。依頼を受けたゆっくりハンターの者ですが、誰かいませんか?」 呼び鈴を鳴らし、入り口でそう言ってから待っていると、すぐに中から男が出てきた。 小太りのおじさんで、顔が油でてかてかと光っていた。 男はしかめっ面のままこちらを見て、そして黙って部屋の奥に目を遣る。 中に入れという合図だ。 私は一度彼にお辞儀をしてから中に入り、阿求ちゃんも私に続いた。 私達は、男によって客間の一角に案内され、用意された席に座った。 案内された部屋は、なにやら賞状やらトロフィーやらが目のつきやすいところに並べてある。 ゆっくり関連のグッズもそこかしこに置かれており、私の口からは素直にかわいいなぁと言う言葉が漏れた。 一方、阿求ちゃんは手をプルプル震わせてそのゆっくりたちを見ていた。 男は終始無言で、こちらと目をあわせようとすらしない。 阿求ちゃんはそんな男の様子を訝しんでいたが、私にとってはもう慣れたものだ。 懐から依頼書を取り出し、仕事の話を始める。 「では、依頼内容の確認をしますね。 私が依頼された仕事は、昼の間にこの畑を荒らしに来るゆっくりたちから作物を防衛すること。 その際に注意することは、絶対にゆっくりたちを殺さない。 ゆっくりに怪我を与えてしまうとしても、必ず最小限にとどめること。 成功報酬は依頼書に明記されている通り、ということで。 以上でよろしいですか?」 阿求ちゃんが私の言葉に驚いたような顔をこちらを見た。 狩りに来た、といっているのにこれだから仕方ないか。 事情を先に説明しとけばよかったな、といまさらながら悔やむ。 まあいまさら悔やんでも後の祭りだ。男が黙ってうなずくのを見て、私は阿求ちゃんをつれて席を立った。 「待て」 部屋の扉に手をかけたとき、男が始めて声を上げた。 やっとか、と私がほっとして男の方に向き直る。 「なんでしょうか?」 「いいか。絶対にゆっくりちゃんたちを虐めたり、殺したりするんじゃないぞ。 彼女達を透明の箱に入れて、無闇に苦しめるるのもいかんからな。 もし私の周りでそんなことをすれば、お前にも彼女らと同じ苦しみを味わわせてやるから覚悟しておけよ」 「ええ、彼女達は、かわいいですからね」 男は私の答えにふん、と鼻を鳴らし、そして特大ゆっくり人形を抱きかかえながらまた目をそらした。 「わかったならそれでいい。私はこの子と戯れているからさっさと出ていけ」 私はそれ以上男に話しかけることは無く、阿求ちゃんを連れて男の家から出た。 阿求ちゃんはずっと怒りを抑えていたらしく、表に出るなり真っ赤な顔をしてブンブンとメイスを振り回した。 「もう!どういうことですかハンターさん!ゆっくりたちを殺すななんて、私がモルゲンを持ってきた意味ないじゃないですか! それになんですかあのジジイの態度は!そんなにゆっくりが好きなら畑ごとゆっくりに上げればいいじゃないですか!」 「落ち着いて、阿求ちゃん。これには深くないけど事情があるの。それにゆっくりを狩ることに変わりは無いから」 私の言葉に、ようやく彼女の動きが止まる。 「え?今回は追い払うだけじゃないんですか?それに殺害はNGだとあのジジイが………」 「そんな対処の仕方をしても、ゆっくりに効果は無いのは阿求ちゃんも知ってるんじゃないかな? 翌日には忘れてまた来るだろうし。それに、殺害がNGなのはあの人の近場だけよ。 追い払った後追跡して、森の中で殺しても何も言われないわ。むしろ先方もそれを望んでるわ」 「……じゃあなんであのジジイはあんなことを言ったんですか?素直に退治してくれ、と言えばいいじゃないですか」 阿求ちゃんは納得行かないような顔で私にそういった。 正直私もそう思うが、人には事情があるんだから仕方ない。 「実はねぇ……あの人、ゆっくりんピースの会員なのよ。それも結構上の方の」 「はぁ!?あの基地外集団のですか?じゃあなんでゆっくりを殺せなんていうんですか? あいつらはゆっくりを保護する団体でしょう?」 「ええ、普通の会員さんだったらブリーダーさんに頼むところでしょうけどねぇ。 でもあの人、ゆっくりにお金かけすぎてそんな余裕ないのよ。ブリーダーさんって結構お金かかるから。 かといってそれなりに上のほうの人だから、自分で殺すのも加工所にうっぱらうのも周りの目が許さないし。 ましてやゆっくりに畑を明け渡したりなんかしたら、破産しちゃうわ」 「はぁ……だからお姉さんのところに話がまわってきたと」 「ええ。ハンターは割と安めで仕事を引き受けるものだから、こういう人たちの依頼は良く来るの。 こちらとしても、そういう人種の人たちはほかの人より多くお金出してくれるから万々歳よ」 彼女は私の言葉に心底呆れた様子で、深いため息を吐いていた。 子どもにとっては、こういう大人の複雑な理由は理解できないのだろう。 まあ、私も彼らのことを理解できることなんて一生無いだろうけど。 仕事だからと折り合いを付けているだけだ。 「だったらゆっくりんピース抜ければいいと思うのは私だけでしょうか……」 「私もそう思うけどねぇ。でも、今抜けたらこれまでゆっくりたちに使ってきたお金は無駄だった、と認めるようなものだから出来ないんでしょうけど。 まったく、もっと単純に自分の思うまま生きればいいのにねぇ」 阿求ちゃんはうんうん、と頷きメイスの先で家の壁を小突く。 大きな音は出ないものの、家の壁の塗装が少し削れた。 「ゆっくりを見つけたら何も考えず叩き潰すくらいでいいと思うんですよ私は。 それなのにゆっくりがかわいそうだの保護しようだのとぐちぐちと……やっぱりゆっくりんピースは害悪ですね!」 「こらこら、人の思想に口を出しちゃあ駄目よ?向こうは向こうで考えた末の結果なんだから。 そういうのは心の中だけで考えて、口には出さないものよ?あと壁突くのやめなさい」 阿求ちゃんはまだ納得いっていないようだったが、素直に私の言葉に従ってくれた。 妹がいたらこんな風なのかもしれない、と密かに思った。 「それじゃあ、畑に行こうね。いつゆっくりたちが来るともわからないし」 「そうですね。こんなやつのことは忘れてさっさとゆっくりで遊びましょう!」 彼女はそういうと、私の手を引っ張って畑の方に歩いていく。 彼女はもう待ちきれないと言った様子で、顔は興奮しているせいか少し赤い。 私は転ばないように気をつけながら、そのまま彼女についていった。 「ここが畑ですか……なんとも無防備ですね」 男の家の裏側に回ると、一面に畑が広がっている。 それなりに耕地面積は広く、作物もよく育っているのが見て取れたが、 外側の蔓ごと抜かれていたり、ほんの少しだけかじられた野菜が捨ててあったりとひどく荒らされていた。 ゆっくり対策に作られたのだろうか、木製の柵が畑の周囲に立てられていたが、ところどころ壊されておりもう柵としては機能していなさそうだ。 ゆっくりのことを少しでも調べた農家ならあんなもの役に立たないことぐらいはわかるだろうに。 もしかしたら、ゆっくりんピースには間違った知識が蔓延しているのかもしれない。 「無駄に広いから、ここを守るのは大変ですね……。ハンターさん、どうするんですか? 柵を張りなおしたりしとかないと、危ないのでは」 「そんなめんどくさいことしなくても大丈夫よぉ。一緒に座ってゆっくり待ちましょう?」 「……え?何もしなくていいんですか?」 「別にいいわよ。どうせ今からやったってたいした柵なんか作れないし。 あ、あの雲なんかむくむくしててかわいいわよ?ゆっくりみたいで」 私は地面の上に腰をおろし、柵にもたれながら空に浮かんでいる雲を指差してそういった。 阿求ちゃんはまだなにか言いたそうだったが、私の様子を見てあきらめたのか結局は隣に座って一緒に空を眺めていた。 そこにはやわらかそうな雲が数個浮かんでいて、あそこで寝たら気持ちよさそうだ。 いかにもゆっくりたちが好みそうな場所で、もしかしたらあそこにはゆっくりたちが住んでいるのかもしれない。 そんなことを彼女に言うと、彼女は笑ってそれを否定した。 彼女が言うことには、 崖の上でゆっくりをロープに括り付けたまま降ろしたところ、そのゆっくりはショック死してしまった、という実験結果があるらしい。 だからゆっくりたちは高いところは苦手だと思われ、よってあんな高いところにある雲でゆっくりすることは無理とのこと。 「へぇ~、ゆっくりたちが高いところ苦手だなんて知らなかったなぁ。 阿求ちゃん物知りだね」 「いや、物知りだなんてそんな。ゆっくりに関してはまだ未知な部分が多くて、私にも知らないことなんてたくさんあります」 彼女は俯いて、照れたかのように頬を掻いた。 子どもなのに謙遜までするなんて、将来は大物になるかもじれない。 「……ゆっくりと言えば、ハンターさんはゆっくりが好きなんですよね?」 彼女は再び顔をあげ、思い出したようにそういった。 「うん、そうよ。あのゆっくりの笑顔を見ていると、なんだか心がホンワカしてくるのよねぇ」 「じゃあなんでまたハンターなんかに?農家になれないのわかりましたが、だからってそれじゃなくてもいいじゃないですか。 ブリーダーとか、保護委員になるとか、他にもいろいろあるでしょう」 「それも考えたんだけどねぇ。でも私、殴ってしつけるのはちょっと苦手だし。 一時期頑張ってやってみたこともあったんだけど、私がゆっくりに餌をやったら何故か死んじゃうのよ」 「ああ、あの殺人野菜のことですか……うう、思い出したら気持ち悪くなってしまいました」 「おいしいのにねぇ。だから基本的に保護系は無理だったわ。保護した片っ端から死ぬんだもの。 でもどうしても私はゆっくりにかかわる仕事をしたかったから、ハンターの職に就くことを決めたの」 「……なるほど、納得しました。お姉さんも大変なんですね……あ!」 ちょうど話に区切りがついた時、向こうから小さくて丸い塊が飛び跳ねながらこっちに向かってくるのが見えた。 言わずもがな、ゆっくりだ。 見たところ全部まりさ種のようである。 「まりさたちのゆっくりごはんをとろうね!あそこのおやさいはとってもおいしいよ!」 「ゆゆ!?にんげんたちがいるよ!だいじょうぶなの?」 「だいじょうぶだよ!ここのいえのにんげんはまりさのかわいさにめろめろだから、なにもしてこないよ!」 以前来たときに相当甘やかされたのだろう、随分な言い草である。 こうなっては言葉で止めるのはもう無理だ。なにを言ってもここはまりさのものだからさっさと出てけと言われるだけ。 それを知っていたのだろう、阿求ちゃんがメイスを構えて攻撃体制をとる。 「かかって来なさい!みんなまとめて叩き潰してあげますよ!」 メイス片手に突撃しようとする阿求ちゃんの襟を、私は慌てて掴んだ。 「ぐぇ!な、なにするんですか!?」 「駄目だよ阿求ちゃん。そんなので攻撃したらゆっくりたち死んじゃうよ」 「じゃあどうするんですか!ああもうどんどん迫ってきてます!」 私はふてぶてしくにやりと笑うと、手提げかばんの中から銀色に光る"それ"を取り出した。 太陽の光を反射してまぶしく輝くそれは―― 「じゃじゃーん!銀のナイフー!」 それは刃渡り十五センチほどの狩猟用ナイフで、私が狩りのときに良く愛用するものだった。 狩りのとき以外にも、料理のときに使ったり、収穫のときに使ったりと、私にとっては生活の必需品となっている。 「ってそんなの見ればわかりますよ!ナイフなんて使ったらやっぱりゆっくりは死んじゃないですか!」 「モノは使いようよぉ?ちょっと見てなさい」 私は突撃してくるゆっくりに向かって、思い切りナイフを投げた。 そのナイフはほぼ直線に近い軌道を描き、ゆっくりにの顔に直撃――せずに、ゆっくりのかぶる帽子を射抜いた。 「ゆゆ!?まりさのぼうしが!」 ナイフは帽子に刺さっても勢いをとどめることは無く、そのまま帽子ごと地面に突き刺さる。 慌てて帽子を取られたゆっくりが拾おうとするも、ゆっくりではナイフを抜くなんて器用なことは出来ない。 泣きながら帽子の周りを飛び跳ねるだけだ。 「す、すごい…。こんな方法があったんですね!」 「まあ、リボンとかだと結構大変なんだけどねぇ。今回はまりさ種ばっかりだから楽に済みそうだわー。 エイ、タァ、ドウリャー、トゥー、ワーワー」 私は投げる毎に気合の言葉を発しながら、突撃してくるゆっくりたちの帽子をひとつ残らず地面に縫い付けていく。 前方の惨状を見て逃げようとするゆっくりにも、きっちりナイフを投げておく。逃げられたら厄介だ。 十五匹ほどの帽子を縫い付け、防衛戦は終了した。 「うーん、あんまりいなかったわねぇ」 「結構いるように見えますが…これで少ない方なんですか?」 「これだけ畑が広いと、コミュニティ全体で来ることもあるからねぇ。 違う畑では百匹近くのゆっくりが襲ってきたこともあったっけ。今回みたいに制限は無かったけど、さすがに危なかったわぁ」 あの時は仕事中に周りの農家たちも応援に来て、さながら闘技場のようになっていたっけなぁ。 あんこまみれになった畑の周りを、みんなで仲良く掃除したのはいい思い出だ。 今回は規模が規模だし、ここの住人自体もあまり評判がよろしくないので観客は阿求ちゃんしかいないけれど、 見られることを意識するといつも以上に頑張ろうという意欲がわくものだ。 「で、どうするんですか?あれ」 「そうねぇ。まりさたちにはちょっと聞きたい事があるから、阿求ちゃんはそこでちょっと待っててくれないかしら」 阿求ちゃんが目の前の自分の帽子の前で泣き叫んでいるゆっくりたちに指を向ける。 私は彼女をそこに残し、リーダー格と思われる、一番大きいサイズのゆっくりまりさに近寄った。 「ちょっといいかな?」 呼びかけられたゆっくりまりさが、涙やらよだれやらでぐちょぐちょとなった顔をこちらに向けた。 「お゛ね゛え゛さ゛ぁ゛ぁぁぁん!!ま゛り゛さ゛のぼうし゛と゛って゛ぇ゛ぇぇぇ!!」 「いいよ。はい、これでいいかな?」 私はそのまりさが言うように、地面からナイフを引き抜いて帽子を取ってあげた。 そして私の胸の前でそれを抱えるようにして持つ。 「おねえさんありがとう!それはまりさのぼうしだから、さっさとかえしてね!」 先ほどまでの泣き顔はどこへやら、まりさはいつものふてぶてしい顔をして私から帽子をとろうと飛び跳ねている。 たぶんさっきのは嘘泣きだったのだろう。 泣けばここの住人は馬鹿だから助けてくれる、なんて計略があったに違いない。 確かにそれは有効である。昨日までならば。 あのゆっくりんピースのおじさんの金と共に、このゆっくりたちの命運も尽きてしまった。 「じゃあ、私の質問にちょっと答えてくるかな?」 私はなるだけやさしい口調でそういった。 本当はもっと厳しく言った方がいいのだろうけど、やはりいきなりそんなことをするのも気がひける。 ゆっくりまりさは私が下手に出ている様子にこいつも自分に優しい人間だと思ったのだろう、 体を一回り大きくして見下すようにこちらを見ている。 「そんなことよりまりさのぼうしさっさとかえしてね!のろまはきらいだよ!」 案の定付け上がってしまった。 仕方がない、気は進まないけどこちらも少しだけ強硬姿勢を見せなければいけないか。 私は帽子をしっかりと抱え、ゆっくりまりさに取られないように注意しつつ、ナイフでほんの少しだけ帽子に切れ目を入れた。 自分の帽子がさらに傷を付けられていく様子を見て、ゆっくりまりさは慌てふためく。 「おねえさんへんなことはよしてね!まりさのだいじなぼうしにきずつけちゃだめだよ!」 「ごめんね?私も仕事だから。本当はこんなことしなくないのだけれど」 「だったらさっさとかえしてね!」 「じゃあ私の質問に答えてくれる?」 言外に答えなかったら帽子を引き裂くぞ、と言う脅しのニュアンスを含みつつ、私はゆっくりまりさに迫る。 ゆっくりまりさは下に見ていた人間に思わぬしっぺ返しをくらって心底悔しそうだったが、 自分の大事な帽子には変えられないのか、観念したかのように動きを止める。 「わかったよ!こたえるからさっさとしつもんしてね!」 「ふふっ。じゃあ聞かせてもらおうかしら。 あなた、ほかに仲間はいる?ここの畑を他のゆっくりに知らせたかしら?」 私が問うたのは相手の戦力の規模。 このゆっくりたちを処分するならばここから離れねばならない。その間、この畑は無防備になってしまう。 もしまだいるならばこのゆっくりたちは、このままここに縫い止めておかねばならない。 まったく、捕獲用の箱くらい使わしてくれてもよかろうに。 だが、私のそんな心配を知ってかしらずか、ゆっくりまりさの答えは私にとって理想的なものだった。 「なかまはいないよ!ここにいるみんなでぜんぶだよ!それにほかのゆっくりにもいってないよ! ここはまいさたちだけのゆっくりぷれいすだからね!」 「ありがとう。でも嘘はついちゃだめよ?そうしたら私にとってもあなたにとっても悲しいことになるわ」 「うそなんかついてないよ!まりさはしょうじきものだからしんらいしてくれていいよ!」 一応念を入れて探りを入れてみるも、ゆっくりまりさに嘘をついている様子は見受けられない。 まりさ種特有の強欲さから考えても、その話は信憑性に足るものだと思われた。 私の目標は、このゆっくりまりさだけとなった。 「おねえさん、おしえたんだからさっさとぼうしかえしてね!」 「ああ、ごめんなさい。今返すわ。でもその前に、私からもあなた達に教えたいことがあるの。 あなた達がゆっくりできるかどうかに関わる、とても大事なことなんだけど。聞いてくれる?」 「まりさはゆっくりしたいんだぜ!おねえさん、ゆっくりしないではやくおしえてね!」 ゆっくりできない、と言う言葉に本能的に恐怖を覚えたのだろうか、ゆっくりまりさが帽子のことも忘れて私の情報をせがんでいる。 私はまりさを安心させるように微笑むと、畑の方にいる阿求ちゃんを指差した。 「ねぇ、あの女の子って誰だかわかる?」 「ゆ?あんなひょろいやつなんてしらないよ!」 ゆっくりたちから見れば、彼女はそんな風に映るらしい。 私としては、線が細く、そのすらっとした体のラインはうらやましいものであるのだが。 私はこんな職業柄、どうしても少し筋肉質な体になってしまうからだ。 今度、どうやってあんな主そうなメイスを振り回すパワーを持ちながらそんな体型を維持できるのか、じっくりと聞いてみたいものである。 ……いけない、思考が脱線した。今は仕事に集中しないと。 「あの子はね、実はあなた達を捕まえに来た加工所の人なの」 「ゆゆ!?おねえさんそれほんとう!?」 「ええ、もちろんよ。彼女の持っているものが見えるでしょう?あれは、あなた達を捕まえるための道具なの」 実際は、あれは捕まえるものではなく殺すためのもの。それでも、ゆっくりたちにとって脅威であるものには変わりないのだが。 ゆっくりまりさはとりあえずあれの危険性についてはわかったのか、私に隠れながら、おびえた表情で向こうを見る。 「でも、心配しなくても大丈夫よ?あの子はあなた達が近づかない限り、何もしないから。 だから、今日はおとなしく森に帰ったほうがいいんじゃないかしら?」 「で、でもそうしたらまりさたちごはんたべられないよ!」 「それは仕方がないわ。たべものより命の方が大事でしょう? どうしても行きたいっていうんなら止めはしないけど、私はあの子からあなた達を守れるほど強くないわ」 阿求ちゃんのいる畑を見やって、ゆっくりまりさは考え込んでしまった。 お野菜は食べたいが、そこに立ちはだかるのはこわいもの構えて仁王立ちする人間。 この人数でかかればいくらかはあれを抜けられるかもしれない。だが、確実に私達の大半はゆっくりできなくなる。でも私じゃないかもしれない。 運がよくて私だけはおいしい野菜を食べながらゆっくりできるかもしれない。 どうしよう、怖いけど、お野菜は食べたい。あれはとてもおいしい。 おいしいものを食べたいと言う欲求と、死への恐怖と、もしかしたらという希望。 ゆっくりまりさの中で葛藤が渦巻いた。 ゆっくりまりさは考えに考え抜いた末、私に向かってこういった。 「おねえさん!まりさたちきょうはかえるよ!あしたあそこでゆっくりすればいいからね!」 勝ったのは死への恐怖。やはりあのメイスと、何より彼女が怖かったのだろう。 結構離れた私の場所でも、阿求ちゃんのゆっくりへの殺気がありありと感じられる。 ゆっくりまりさもそれを感じ取ったのだろう。 そうでもなければ、本能に従順なゆっくりが簡単に食への欲求を止められるものか。 私は彼女の殺気の波動から守るようにゆっくりまりさの前に屈みこんで、持っていた帽子をかぶせてやる。 「そう。命を大事にしてくれて嬉しいわ。早くみんなを連れてここから逃げてね」 「うん!おねえさんありがとう!みんなにおしえてくるね!」 ゆっくりまりさは勇んで他のゆっくり達に近づいていき――そして泣きそうな顔でまた私のところに戻ってきた。 「おねえさん!ほかのまりさたちのぼうしもとってあげてねぇぇぇぇ!!」 そういえば、まだ刺さったまんまなんだっけ。 私は地面に縫いとめられている帽子を回収し、それぞれのゆっくりまりさに被せてやる。 ゆっくりまりさたちは泣きながら私に礼をし、後ろでさっきを撒き散らす阿求ちゃんをみて恐れおののいて、そして帰っていった。 私はゆっくりたちがこちらを気にしなくなるほど離れてから、後ろにいる阿求ちゃんを呼び寄せる。 「すごいですね。どうやってあのゆっくりたちを説得したんですか? 合い辛そう簡単に畑を諦めるようなやつらじゃないのに」 「ふふっ。阿求ちゃんのおかげよぉ。 じゃあ他のゆっくりたちもいないようだから、後を付けていきましょうか。 待望の狩りの時間よ」 彼女は自分のおかげとはどういうことかと首をひねっていたようだが、 ゆっくりが狩れる聞いて俄然やる気を出したようだ。 「ほんとですか!ついにあいつらをつぶすときが来たのですね!」 「まあ、人目のつかないところまで尾行してからだけどねぇ。 ここで見失ってしまったらことだから、静かに、そして慎重に行きましょう?」 私は興奮する阿求ちゃんの唇に人差し指を押し当て、にこりと笑った。 彼女は了解です、とおでこに手をやって敬礼のポーズを取る。 まあ、ゆっくりたちは鈍感だからばれることは万が一程度しかないだろうが、念には念をだ。 そうして私達はゆっくりまりさたちの尾行を開始し、十数分後、彼女達の巣と思われる森の一角についた。 そこにはそのゆっくりまりさのほかにも、彼女の子ども達と思われる子ゆっくりもいた。 「おおー、いっぱいいますねー。もう我慢しなくてもいいんですよね?」 阿求ちゃんがメイスを構えて、満面の笑みで私の許可を請う。 私もナイフを構え、頷いた。 「いいわよ。ただ、向こうにいるリーダー格のゆっくりまりさは私に預からせてね?」 「わかりました!では行ってきます!」 彼女は弾丸のごとく疾走し、一直線にゆっくりに突撃する。 いきなりの奇襲に驚いたゆっくりは、すばやく反応することが出来ない。 「はぁーーーーっ!滅殺!」 「ゆべっ!?」 「びいっ!」 「ゆぐぅぅぅ!?」 「い゛ぃ゛ぃぃぃ!!」 彼女がメイスを振り回し、その暴風雨のような一撃に巻き込まれたゆっくりたちが内蔵物を撒き散らす。 ほんと、どこにあんな力があるのだろう。そう疑問に思いつつ、私は逃げようとするゆっくりを私がナイフを投げて縫いとめる。 今度は、帽子じゃなく本体を直接狙う。 「いだいよぉぉぉぉ!!」 「ゆぅぅぅ!!にげたいのにうごけないぃぃぃぃ!」 ナイフが刺さったごときでは致命傷には至らないが、それでもゆっくりたちの動きを止めることはできる。 動きさえ止めてしまえば、もう逃げられる心配は無い。後は阿求ちゃんに任せておけば大丈夫だろう。 私はそれを放置して、阿求ちゃんのメイスに当たらないように気を付けつつ、 目の前の惨状に呆然としているリーダー格のまりさに近寄った。 向こうも私を認識したようで、怒ったような顔で私に抗議の声を上げる。 「おねえさん、これどういうこと!!まりさたちをだましたの!!」 「ごめんね?これも仕事なの。あなた達には後で話があるから、とりあえずそこで待っててね?」 私はそのゆっくりまりさと、取り巻きにいた数匹のまりさをナイフで刺して動けないようにしておく。 ゆっくりまりさたちは体中を走る激痛に悲鳴を上げているが、私はそれを無視して阿求ちゃんのほうに向かう。 彼女のほうはあらかた片付いたようで、そこらじゅうにあんこが飛び散っている。 彼女も服をあんこだらけにしながら、恍惚の表情を浮かべてそこに佇んでいた。 「あらあら、もう終わっちゃったの?手伝おうと思ったのに」 「ああ、ハンターさん。本当はもう少しゆっくりいたぶろうかとも思ったんですが、一日中我慢していたせいで制御が利かなくて…」 「早いに越したことはないから私としては別にいいけどねぇ。って、あら?まだあそこに残っているわよ?」 そこには、あんこに埋もれていた一匹の子まりさがいた。 阿求ちゃんがまき散らかしたあんこが体中に飛んできて、運よくそれが擬態として働いたのだろう。 「ゆゆ!もうだれものこってなんかいないよ!ぜんめつしちゃったんだからゆっくりかえってね!」 自分を見つけられて焦ったのか、ゆっくりまりさが声を張り上げてそういった。 そんなことしても逆効果なのだが、ゆっくりだから仕方がない。 阿求ちゃんが頬を吊り上げながら、声のしたほうに近づいていく。 「そうですか、やっと全滅しましたか」 「そうだよ!もうだれもいないからゆっくりさっさとかえってね!」 「でもちょっと疲れましたから、ここで一休みしましょうか」 彼女は近くにあった木の根元に座り込み、隠れている子まりさの上に先端がのしかかるように、自分の持っているメイスを置いた。 「ゆぐっ!?お、おもいよ!とげがささっていたいよ!おねえさんはやくこれをどけてね!」 「おかしいですね~、全滅したはずなのにどこかからゆっくりの声が聞こえます。 幽霊でしょうかねぇ?おお、こわいこわい」 彼女はわざと子まりさと視線が合わないようにしつつ、そううそぶいた。 メイスを乗っけられた子まりさは必死に抗議の声を上げる。 「ゆゆ!ぜんめつなんかしてないよ!まりさがここにいるよ!だからさっさとこれをどけてね!」 「ええ?全滅なのではなかったのですか?でもどこにいるのでしょう。皆目見当もつきません」 彼女は周囲を探すように歩き回り、時折メイスの力を軽く踏んで子まりさの負荷を増加させる。 「いだいぃぃぃ!ふまないでね!これいじょうされたらまりさつぶれちゃうよ!」 「あらごめんなさい。でもあなたがどこにいるのか探さないと・・・ここかしら?」 そういってさっきより強くメイスの柄を踏む。 「ひぎっ!それいじょうはやめでねぇぇぇ!!あんこがでちゃうよぉぉぉぉ!!」 「あは、あはははっ!やっぱり見つからないですねぇ。ここですか?それともここ?ここかもしれませんねぇ」 彼女は興奮で顔を赤く染めながら、何度も、何度もメイスを踏む。 踏まれるたびに子まりさはビクン、ビクンと痙攣し、中のあんこをひねり出して行く。 「ああ、やっぱりたまらない!もっと、もっと聞かせてください!」 「ゆべっ!や、やべっ!!こべっ!もぶっ!だべっ!」 彼女は狂ったように笑いながら、汗が滴り落ちて妖しく光る足を上下に動かす。 子まりさはポンプのように、踏まれるたびに口から悲鳴を上げる。 そしてその声はだんだんと弱くなり、そして中のあんこがすべて飛び出ると同時にその声も聞こえなくなった。 「もう終わりですか?子どもは耐久力がないのが難点ですねー。 悲鳴は成体よりも良いのですけど」 「あらあら、あれだけ愉しんでたのに辛口ねぇ。 でもとりあえずこちらは終わったようだから、ちょっと来てくれるかしら?」 私は彼女を連れて、先ほど動けなくしておいたまりさ達の元へ向かう。 やはりまだ動けないようで、目の前の惨状に震えながらもそこから逃げられないでいた。 「お、おねえさん!まりさをたすけてね!まりさしにたくないよ! ほかのまりさたちはしなせてもいいから、まりさだけはにがしてね!」 リーダー格のまりさが私を見るなり他のやつらを見捨てて命乞いをする。 他のゆっくりまりさが慌てて自分も、自分もと命乞いを始める。 「自分だけ助かろうとは見下げた根性ですね。ハンターさん、殺しちゃっていいですか?」 「だめよぉ。この子達はみんな逃がしてあげるんだから」 私のその言葉に阿求ちゃん絶句し、ゆっくりたちは歓喜の声を上げる。 「おねえさんありがとう!まりさをゆっくりにがしてね!」 「ああ、でも私も仕事だから、ただで逃がすわけにも行かないのよ。 あなた達もう顔が割れてるから、万が一あのおじさんにあなた達のことを見つけられたら困ることになるわ」 「……ゆっくりなんて見分けつかない気がしますけど」 「あら、ゆっくりんピース舐めちゃだめよ?彼らはゆっくりたちの顔のわずかな違いでその個体を識別できるんだから」 ゆっくりたちは確かに似ているが、個々で微妙に違ってたりする。 目つき、口元、眉毛の凛々しさなど、ゆっくりんピースやブリーダーはそれを見て区別することができる。 「じゃあどうするんですか?やっぱり殺すしかないじゃないですか」 「そんなこともないのよ?ちょっと見ててね…えいっ」 私はナイフを使って、ゆっくりまりさの右目の部分だけを綺麗に刈り取る。 「ゆ、ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!まりさのめがぁぁぁぁぁぁ!!」 「ごめんね?痛いだろうけど暴れちゃ駄目よ?すぐ済むから我慢してね」 私は隣のまりさも同様に同じ部分を刈り取り、それを最初に切ったゆっくりまりさの目にくっつける。 同様に先に刈り取った右目も、今切ったゆっくりまりさの目に引っ付けて、傷口をふさぐ。 これで、二匹のゆっくりまりさの右目は交換された。 「どう?これならばれなくなるでしょう?」 「はぁ、パーツの交換ですか…良く考えますねこんなの」 「ありがとう、ほめ言葉として受け取っておくわ。 まあさすがにこれだけじゃばれちゃうから、もっと色々やるんだけど」 私は再びナイフをゆっくりたちに向ける。 ゆっくりまりさたちはこれから来る痛みから逃げようとするが、体に刺さるナイフがそれを許さない。 私はそんなゆっくりたちを安心させるために、優しく微笑んであげた。 「ちょっと痛いだけだから、我慢してね?これが終わったらみんな逃がしてあげるから」 ゆっくりまりさたちは悲鳴を上げているが、私は無視してナイフで顔のパーツを切り取っていく。 その悲鳴に罪悪感が心の中でもたげたが、ゆっくりたちを生かすためなのだから、と私はそれを押さえ込んで作業を続けた。 ゆっくりたちの麻酔なしの整形手術は、一時間後にようやく終わった。 「はーい、終わったよー。みんな、良く頑張ったね」 私は痛みに耐えかねて気絶しているゆっくりたちを起こし、ナイフを抜いて野に放ってやる。 ゆっくりまりさたちはまだ痛みが抜け切っていないようだったが、それでも体に鞭打って私の元から離れていった。 そのときに私になにか言おうとしていたが、交換したばかりだったせいか口が動かなかったようで、結局そのまま何も言わず去っていった。 お礼なんて、別にいいのに。 ゆっくりまりさたちを見送りながら、阿求ちゃんが私に質問をした。 「ハンターさん、なんであんなめんどくさい事をしたんですか?やっぱり殺したくないからですか?」 「もちろんそれもあるわ。でも、あの子達明日になったら私達のことなんてすっかり忘れて、いつか群れをなしてまたあのおじさんの畑襲うと思わない?」 「まあ、ゆっくりの習性上そうなってもおかしくは……って、まさか」 「大事な収入源は、できるだけ手放したくないものよねぇ」 私達はその後依頼人の男のところにいき、ゆっくりたちを追い払ったとだけ報告してお金を受け取った。 彼は自分の畑を襲うゆっくりたちが死んだのだと喜びを隠せずにいたが、 阿求ちゃんはそんな彼を哀れむように見ていた。 男は阿求ちゃんの様子に気づくこともなく、上機嫌のまま私達を見送るために玄関まで来ていた。 私は大事な顧客である彼にしっかりとお辞儀をして、そしてこう言った。 「また、何かあったらよろしくお願いしますね」 終わり 外伝へ 読んでくださった人に感謝の念をこめて。 本当に、本当にありがとうございました。 このSSに感想を付ける
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春。花見の季節。 街道や公園には桜が見事に咲き誇り、公園では多くの人が桜の木下にビニールシートを敷いて、宴会をしていた。 俺は自転車で街へ出かけていった帰りに、公園によってきた。 理由は、桜の見事な咲き誇りように思わず見とれてしまったからだ。 それに、公園では多くの人のにぎやかな声が聞こえる。 このような声を聞いてしまうと、ついつい自分もそちらに引き寄せられるように行ってしまう。 公園はお祭りとなっていた。 桜の木の下で親子連れや会社の人たちが楽しく花見をしており、公園の道沿いには屋台がたくさん並んでいる。 祭り騒ぎで、屋台を見たら、ついつい屋台のほうへと体が引き寄せられてしまう。 屋台で売られているものは、普通には無い魅力があるのだ。 値段が高いが、花見を楽しむならば気にする必要は無いだろう。 そこで、俺は屋台でまず焼きとうもろこしを注文した 「へい、おまち!!」 おっさんの見事な腕により、綺麗なこげ茶色の焼き目を入れられたとうもろこしは、かけられた醤油の匂いと見事にマッチして、 非常に美味しそうな香りを出していた。 我慢できなくなり、思わずかぶりつく。 「うまい!!」 焼きとうもろこしなんて久しぶりに食べた。あまりの美味しさに思わず口が進んで行く。 気がつくと、もう全部食べていた。 「おうおうおう!!兄ちゃんいい食いっぷりだな!!作った俺もうれしいぜ!!」 どうやら夢中になって食べていたところを一部始終見られてしまった。 思わず赤面するが、屋台のおっさんから褒められてまんざらでもない気分になる。 だが、そんなしあわせー♪な気分をぶち壊す不快な声が聞こえた 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 最近になって急遽現れた不思議生物、ゆっくりだ。 内訳は、れいむ、まりさ、そして子れいむ、子まりさといった親子連れ4匹だ。 現れた最初あたりは、世間はその不思議生物に対して「友好的でもなければ否定的でもない中立的」な立場をとり、 色々とコミュニケーションを図った。 しばらくすると、ゆっくりのペットブームが始まったが、またしばらくすると、ゆっくりの及ぼす害が深刻となり、 世間は「中立的な対応」から一転し、「ペット以外は全て害獣」という対応になった。 ゆっくりが現れたはじめは、虐待をする人が白い目で見られたが、今では制裁対応ならば白い目どころか褒められるようになっている。 どうやら、このゆっくり親子はこの花見の人たちに対して物乞いをしているのだろう。 あたりを見渡すと、花見をしている2歳児をつれた親子連れに、まりさと子まりさがなにやら話しかけているし、 宴会をしているおっさん達のところではれいむが歌を歌っている。 野良ゆっくりは人に対して物乞いをするか、人と接するのを避けるのかのどちらかしか選ばない。 どうやら、この公園にいる野良ゆっくり達は前者のようだ。皆薄汚れて汚いが、顔は必死だ。 明日の食い扶持もままならないのだろうか。 すると、俺と屋台のおっさんのところに現れたゆっくり親子は 「おにーさん!!そのとうもろこしさんちょうだいね!!」 「まりさたちおなかがすいているんだぜ!!」 「「ちょーらいね!!」」 と言って来た。それを見たおっさんは 「おぅ、兄ちゃん。こいつらはゴミのようなものだからな、捨てるんならゴミ箱があるからそこに捨ててきてくれねぇか? あそこにゆっくり専用ゴミ箱があるからよ」 「でいぶだぢごみじゃないよぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 と、れいむの訴えを無視して、おっさんは俺に指差した方向をみせた。 公園のゴミ箱の横にある、同じゴミ箱。だが、こちらは水が張っており、底にはスクリューが、後ろにはタンクのようなものがあり、 ちょっと近代的なゴミ箱と言ったところだ。 だが、これはゆっくり専用ゴミ箱である。ゆっくりは生命力と繁殖力が高いので、確実に殺処分しないといけないのだ。 そこで編み出されたのがこのゴミ箱。水に弱いゆっくりに対して効果覿面で、確実にしとめるために一定時間おきに底のスクリューが回転する。 溜まった水は、後ろのタンクへとうつされ、公園の水道から新たな水が補充されるといった仕組みだ。 「俺達みたいな食い物を作る連中からすれば、こいつらは目の敵でな。俺はとうもろこし作っていて手が離せねぇからよ。 頼むからなんとかしてくれねぇか?」 「はぁ、わかりました」 といったものの、いきなり殺すというのもなんか気がひける。それに、とうもろこしは全部食べたから、この食べかすくらいならあげてもいいかな。 俺はそう思い、ゆっくり達に食べ終わったとうもろこしをあげた。おっさんはしかめ面をしたが、その様子を見守る 「ゆっ!!おにーさんありがとう!!ゆっくりもらうよ!!」 れいむが俺に礼を言うと、親子たちは一心不乱に食べかすにくらいつき 「「「「むーしゃむーしゃ!!!・・・・・おいしくないぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいい!!!!!」」」」 号泣した。そりゃ、食べ終わった後だからな。おっさんが惚れ惚れするくらい綺麗に食べたのだ、食べる部分なんて全く無い。 「ぷんぷん!!たべれるところなんてぜんぜんないじゃないの!!おにーさんばかなの!!」 「まりささまにとっととおいしいごはんをもってくるんだぜ!!」 「しょーだしょーだ」 「ちねー、やくたたじゅのじじぃはちねー」 うむ、ゲスだな。 ゆっくりになど興味は無いが、こんなにもむかつく言葉を言われて、怒らない人間がいるだろうか?いや、いない。 そう確信した俺は、親まりさを掴むと、ゆっくり用ゴミ箱へともっていった。 まりさは野良であるが、このゴミ箱の恐ろしさは知っていた。他のゆっくりがここに入れられると「おお、ぶざまぶざま」とバカにしていたが、 自分がそのゆっくり達と同じ道を歩んでいるということがわかると、先ほどの強気な態度から一転して命乞いを始めた。 「そそそそ、そこはゆっくりできないんだぜ!!いれるのをやめるんだぜ!!!」 「断る。お前ゲスだし」 「あ、あやまるんだぜ!!だからゆるしてほしいんだぜ!!」 「そうかそうか、謝るのか」 「そ、そうなんだぜ!!ゆるしてほしいんだぜ!!ごめんなさいだぜ!!」 「だが断る」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!!」 「この俺が最も好むことは、命乞いをしているゆっくりに希望を与えた後絶望させることだ」 決して虐待好きというわけではないが、単にうざいから殺すというだけだ。 身をよじり、涙をひっきりなしに流しながら命乞いをし続けるまりさを、俺は容赦なく専用ゴミ箱にいれた。 だが、まりさは空中で帽子を脱ぎ、下にしいて、見事水に着地した。 ゴミ箱に入れるまでにほんのちょっとしか時間が無かったわけだが、鮮やかな行動であった。 「ゆっゆっゆ!!ばかなじじいだね!!まりさはみずさんにつよいから、ここにいれられてもしなないんだぜ!!」 「そうか、でもそこからどうやってでるんだ?」 「じじいはばかなの?ぴょーんってとべばでれるんだよ?」 「じゃあ、帽子は置き去りなんだな」 「・・・・・ゆ?」 言われてようやく気がついた。このゴミ箱ではまりさ種がこうやって生きながらえるが、出たとしても命と同じくらい大切な帽子を置き去りにするのだ だから、どちらにせよここに一度入れられたら後は地獄がまっているだけである。 それに気がついたまりさは、カタカタと震え始めて 「ゆゆゆゆ、ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉおおおお!!!おにいざんだずげでぐだざいいいいいいい!!!!」 命乞いを始めた。これで何度目かわからない。正直うんざりしてきた 「お前バカだろ。馬鹿にされた相手がみすみす馬鹿にした奴を助けると思っているのか?」 「おねがいじばずぅぅぅぅうううう!!!!あやばりばずがらぁぁぁああああ!!!」 「お前さっきもそういったが反省してなかったじゃないか、だからそこで死ねよ。他の人に迷惑かけるまえに死んどけ」 「やだぁぁぁぁああああ!!!!ゆっぐりじだいぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!!」 「まぁ、悲しむな。お前の家族も一緒にさせてやるからさ。えーと、目盛はと・・・・。うん、ちょうどスクリューが動くな」 俺はゴミ箱の水の目盛を確認した後、ゴミ箱に必死になって体当たりをしている残されたれいむ親子を持ち上げ 「そんなにまりさにあいたいなら会わしてやるよ」 そういって、ゴミ箱のなかにいれた 「ば、ばりざぁぁぁ!!だずげでっ!!!だずげ!!がぼがぼがぼ・・・」 「で、でいぶぅぅぅぅぅぅううう!!!??」 「おきゃーじゃああああ!!!!!かぽかぽかぽかぽ・・・・」 「まりじゃじにだぐにゃいよぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!こぽこぽこぽ・・・・」 「お、おぢびじゃぁぁぁぁぁあああああああああああん!!!!!!」 愛するれいむは、水の中へと沈んでいき、最愛の2匹の子ゆっくりもれいむの後を追った。 子まりさはまりさと同じく水に浮こうとしたが、落ちてる最中に回転するなどそんな高度な技が子ゆっくりにできるはずもなく沈んでいった。 「あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛!!!!!!」 とめどなく涙を流すまりさ。どうやらゲスだが、家族を見捨てるほどではないらしい。 だが、そんなことなど俺にはわかるはずもなく、俺はれいむ親子を入れた後のゴミ箱の水の目盛が規定値に達したのを確認した。 「じゃあ、向こうでも仲良くしろよ」 俺がそういって、背中を向けると、ゴミ箱下部のスクリューが回転をし始めた。 「ど、どぼじでみずさんがうごいでいるのぉぉぉぉぉおおお!!!!ゆっぐりじでねぇぇぇ!!!ゆっぐりじでねぇぇぇ!!!! まりざをゆっぐりざぜでぇぇぇえええええ!!!!!」 しばらく悲鳴が聞こえたが、トプンと音が聞こえた後も、スクリューは回り続けた。 その後、ゴミ箱の後ろのポンプが作動し、水の入れ替えが始まった。 ゴミ箱の水が規定値に達すると、スクリューがセンサーによってそれを感知して回転させるのだ。 こうして、先ほどのまりさのような生き残りも、残さず処分するという寸法である。 そして、回転させた後は綺麗な水に変えて、あとは水が規定値に達するまでその動きを止める。 今日もゴミ箱は正常運転だった。 「おう、兄ちゃんありがとうな。ゲスを消してくれて感謝するぜ。ああいったゲスはどんどん消えていくのがいいよな。 俺も見ていてスカッとするぜ。こいつは面倒ごとを押し付けた駄賃だ、うけとってくれや」 俺はとうもろこし屋のおっちゃんから、ゆっくりを駆除してくれたことのお礼として、半分ほどの大きさの焼きたての焼きとうもろこしをもらった。 おっちゃんは相当目の敵にしていたらしい。俺があのゆっくりの処分をしていた一部始終を全部見ていたが、白い目で見るどころか、 このようなお礼の品まで受け取った。 俺はまた美味そうにそれにかぶりつき、全部食べ終えた後、またゆっくりがねだって来た。 さっきの奴より礼儀はなっていたが、正直うざかったので、今度はなにもやり取りもせずにそのままゴミ箱にいれた。 ふと、目を凝らすと、先ほどの親子連れは親まりさを池に投げ込んでいた。2歳の子供はひっきりなしに泣いている。 どうやら、エサをもらえなかった親まりさは怒りの余り2歳の子供に対して体当たりをしたようだ、 自ら人間の、しかも親の逆鱗にふれるとは、なんと愚かなことか。子まりさが親まりさの名前を叫んでいたが、親子連れは無視してその場を離れた。 きっと、あの子まりさは長くはいきれないだろう。 宴会をしていたおっさん達はさらにヒートアップしていた。 どうやらお歌をうたっていたれいむを、酔った勢いでいじめていた。中には上司の名前を呟きながら、年の割にはいいパンチを繰り出してる おっさんもいる。相当ストレスがたまっていたみたいだ。れいむもいいとばっちりを受けたものだ。 花見を十分楽しんだ俺は、屋台がたくさんあるところへと脚を運んだ。 屋台をあちこち見ていると、どれもやりたくなってしまう。 スーパーボールすくいならぬ、ゆっくりすくいとか、金魚釣りならぬ水上まりさ釣り、りんご飴ならぬゆっくり飴などなど。 ゆっくりが現れてからというもの、色々とバリエーションが増えたものだ。一般の人々も実に楽しんでいる。 そこで、俺は一つの屋台を見つけた。それは 「スピードクジ」だった。 最近出た話題のゲームソフトや、ゲーム機本体などを陳列し、くじ引きによって当てるというアレだ。 かくいう俺も、滅多に当たらないそれにいくらつぎ込んだことやら・・・・。 だが、そのクジは、取り扱っているものはゲームソフトやおもちゃではない。 景品はすべてゆっくりだった。 それぞれのゆっくりが透明な箱に入れられている。 だが、サイズの小さい子ゆっくりや赤ゆっくりなどは大きい箱に入れられて、ペットショップのハムスターのごとく何気なしに生活している。 中にはおうたを歌っているものも居るらしいが、防音を施された箱なので、こちらには一切聞こえなかった。 上に掲げられた表をみると、クジには1~150までの番号が割り振られてあり、 1等:1~10、2等:11~30、3等:31~60、4等:61~100、5等:101~150。 となっているようだ。 だが、そのクジの数だけゆっくりがいるというわけではなく、1,2,3等まではその数字内の数の分のクジしかないが、 4等より下は被っている数字がたくさんあるということだ。 まぁ、そうでもしないと、1等が簡単に取られるかもしれない。そういうのはクジをする屋台の常套手段というべきだろう。 「へいらっしゃい!!ゲスから高級ゆっくりまであるよー!!兄ちゃんもやっていかないかい!!??」 立ち止まっていたら、店主に声を掛けられた。答えようとしたところ、外人学生カップルが来て。 「ねえダニエル、ゆっくりがいるよ」 「ワオ!ほんとだ!!」 「ねぇ、このゴールドバッジのゆっくりかわいいね!!あたしほしい!!」 「オウ、愛するステファニーが欲しがっているなら、挑戦するさ!!タイショーこれやらしてください!!」 「おう、異国のにーちゃんがんばれや!!」 日本に留学してきたのだろうか、すごく日本語が上手だった。 そして、ダニエルと呼ばれる青年がクジが入った箱に手を突っ込み、おもむろに一つのクジを引いた 「おう、引いたな!じゃあ、どれどれ・・・・、おめでとう!!3等だ!!」 「WAAAAAAAAAAAAO!!!!」 3等が当たったらしい、景品はシルバーバッジをつけたゆっくりれいむだった。 「どうだいステファニー?」 「すごくかわいいわ!!ゴールドじゃないのが残念だけど、シルバーでも十分いいわ!!」 外人カップルはとても喜びながら、ゆっくりを連れて去っていった。 かなり上等な物を当てたカップルを呆けて見ていた俺を、店主は見計らったように答えた。 「おうおう兄ちゃん!!さっきも見たように、運がよければいいのがあたるぜ!!やってみないかい!?」 と店主に言われ、やることにした。こういうのは当たらないはずだ・・・・。 だが、目の前でああもいいのが当たったのならば、ついついやってみたくなる・・・・。 俺は金を払って、クジを一つひいた。 「よし!ひいたか!!どれどれ・・・・、残念!!5等だ!!」 そういうと、店主は裏から箱に入ったれいむを持ってきた。結構でかい。 試しに蓋を開けてみると 「ゆっ!!おにいさんがれいむのどれいになるひとだね!!とくべつにれいむでゆっくりさせてあげーーー」 やかましかったので、速攻で閉めた。なにやらガタガタ騒いできたが、防音処理をしているので、何を言っているのかわからない。 「おっさん、これゲスじゃん。いらねぇよ」 突き返そうとしたが 「でもよ、兄ちゃん。せっかく当てたんだ、それがどんなにクズであれ、欲しがっている人にあげてみたらどうだい?」 といわれた。なるほど、たしかにそうだ。店主につき返すことも出来るが、そうすれば金を自ら捨てるようなものだ。 どうせなら、欲しがっている人にあげようか、だが、こんなゲスを欲しがる人なんているのか・・・。 そう考えていたら、小学生くらいの一人の少年がこちらを見ていた。気になる目線なので、近づいて話しかけると。 「お兄ちゃん、そのれいむいらないの?」 「ん?これか?ああ、いらないかどうしようかと思っていたんだが・・・、いるかい?」 「うん!!!」 なんと、あっさり承諾。さすがに驚いた俺は尋ねた 「でもこいつはもう成体だし、言うこときかない上にうるさいよ?人間も見下しているし。それでも欲しいの?」 「うん!!僕を虐める奴がいるから、そいつの顔を思い出しながら殴るんだ!!殴ったら訓練にもなるしね!!」 なんと、そういう理由だったとは。この幼さで虐められているとは、同情を禁じえない。 だが、見た感じ、体はかなり鍛えられているし、背中には空手着を背負っていた。なるほど、馬鹿にされないよう力を付けているようだ。 こいつは大物になるだろう。そう感じた俺は、快くれいむをあげた 「お兄ちゃんありがとう!!」 礼を言った少年はさっそくれいむを取り出し 「ゆ!!こんどはなまいきなくそがきだね!!れいむがじょうげかんけいをおしえて」 見事な正拳突きをれいむに叩き込んだ。れいむの顔あたりから白い物体が飛び出した。よくみると歯だった。 「べびぶぼばんびょうなばがあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 「サンドバッグは喋らないよ、黙っていてね。あとでたっぷり練習してあげるから」 そういった少年は、れいむを箱に入れなおし、意気揚々と帰っていった。 あの幼さで、あの鋭い正拳突き・・・・。将来大物になるだろう。 とりあえず、喜ばれたので、もう一回チャレンジしてみようとおもった。 「おう、兄ちゃん。いいことしたなぁ?次はいいのが当たるように祈っているぜ!!」 店主からからかわれたが、俺は気にせず黄金の右腕に念力を込めて、勢いよく引いた。 「おう勢いよかったな!!どれどれ・・・・おっ!!4等じゃねえか!!おめでとう!!この中から掴んでくれ!!」 そういうと、店主は黒塗りの箱を取り出した。クジを入れていた箱と似ているが、外に4等と紙が張られている。 そして、厚手の柔らかい手袋を渡された。これをはめて取り出すらしいが、相当綿を詰めているのか、指が余り動かせない。 力強く握っても、ピンポン玉サイズの隙間ができてしまう。 「おっさん、これ物がつかめないんだけど」 「いいからいいから!それをはめて、この中から一つだけとってくんな!!」 にやついているおっさんをいぶかしげに見ながら、俺は中に手を突っ込み、たくさんあるピンポン玉サイズの柔らかい物の中から一つ取り出した。 手を開いて見てみると、それはとてもかわいらしい赤ちゃんゆっくりれいむだった。 「ゆっきゅちちていっちぇね!!」 「おう兄ちゃんかわいい赤ゆっくりを捕まえたな!!育ててくれや!!!」 なるほど、厚手の手袋をされたのは、手触りによって、自分の欲しい種類のゆっくりを取らせないようにするため、 そして、中に綿をたくさん詰めているのは、間違って握りつぶさないようにするためか。俺は理解し、納得した。 手袋をはずし、自分の手の上に乗せた赤ゆっくりを見た。結構可愛いな、こいつなら育ててみてもいいかな・・・。 「ゆ!!おにゃかがしゅいたよ!!ごはんをもってきてにぇ!!じじいはしゃっしゃとうごいちぇね!!!なにゆっきゅりちてるにょ? ばかにゃの?ちびゅっ!!!」 全てを言い終わらぬうちに、握りつぶしてしまった。 ハッ!!ついあのうざったらしいトークを聞いていたら体が反応してしまった!! これは不味いところを見られたかな・・・。そう顔を伏せようとしたが。 「おうおう兄ちゃん。いい握り潰しっぷりだな!!どうやら赤ゆっくりでもゲスだったみたいだな!!運がよければいいのもあるぜ!!」 店主は怒るどころか笑っていた。白い目で見られるのを覚悟していたが、店主はそんなことはしなかった。 それどころか、さっきより朗らかな笑顔を見せている。俺が潰したのがそんなに面白かったのか? この店主は変人なんじゃないかと思ってきた。まあ、景品がすべてゆっくりだし、変なところがあるのは仕方ないか。 だが、このまま去ると負けてるような気がしてならなかった。なぜかは知らないが、俺はそう感じた。 俺は金を次々と出し、クジを引いていった。 「残念!!5等のゲスまりさだ!!!かわいがってやんな!!」 「じじい!!さっさとごはんをもってくるんだぜ!!!とっととするぎゃぼっ!!!!」 「惜しい!!4等だ!!赤ゆっくりをとってくんな!!!」 「ありしゅはとかいはにゃのよ!!どれいでいにゃかもにょのぢぢいはとっととありしゅをぷびゅっ!!!」 「また残念!!5等のゲスちぇんだ!!猫好きならがんばって育てな!!!」 「ちぇんはらんしゃまにしかようはないよー、じじいはらんしゃまをとっととさがしてきてに゛ゃっ!!!」 「惜しい!!また4等だ!!」 「まりしゃはとってもおにゃかしゅいたーーー」 「またまた5等だ!!こんどはぱちゅりーだ!!」 「むきゅ、のろまでばかなじじいはとっととまどうしょをもってきてーーーー」 「5等だ!!呪われているのかあんたは!?」 「チンポチンポチんぽちんぽちんぽーーーーーーー」 「4等だ!!また盛大につぶすのか!?」 「れーみゅおにゃかしゅいたよ、じじいはーーーー」 「4等ーーー」 「まりしゃはーーー」 「5等ーーー」 「まりざぁぁぁあああああーーーーーー」 「5等ーー」 「じじいはーーーー」 「4等ーー」 「おにゃかしゅいーー」 何分経っただろうか。 よく見ると、俺の足元にはたくさんのゆっくりの死骸が積まれていた。 店主は俺の行為を咎めるどころか見て楽しんでいる。俺もゆっくりなどに興味はなかったが、こいつらを虐めるとなんか楽しくなってきた。 「おう兄ちゃん、いいつぶしっぷりだったな。疲れただろ、飲めや」 店主はそういうと、俺に冷たい缶コーヒーをくれた。たくさん潰して運動したせいか、喉がカラカラだった。 「で、まだやるかい?」 飲み終えた俺に、店主は尋ねた。一回が安いとはいえ、相当な金をかけていた。気がつくと財布が軽くなっていた。 「おっさん、俺次で最後にするよ」 金も運も使い果たした感じがした。やはりクジなど当たるものではなかった。心の奥で涙を流しながら、俺は店主に告げた。 「ーーー、そうか。じゃあ、これの中から引けや」 そういうと、店主は別の箱を取り出した。中にはクジがたった5つだけ入っていた。 「いいもん見せてくれたお礼だ。この中のクジは、1等から5等までが一つずつ入っている。お前さんの最後の運をかけてみな」 正直、理解できなかった。本来こういった出血大サービスなど行うはずが無い。 だが、この店主は違った。 「お前さんはいいつぶしっぷりを見せてくれたからな。昔の俺を思い出す気分で、気持ちよかったんだぜ。遠慮せずにどれか引け」 「は、はぁ」 正直、店主の考えがわからなかったが、とりあえず何も考えず、無心の状態で引いてみた。 そして、店主に渡さず、自分で開いた。 そこには、「1」と書かれていた。 「・・・・・・あ、1等」 1等を引いたというのに、実感がわかなかった。今まで4,5等だったからか、喜ぶ気などおきなかった。また、5等だろという感じだった。 だが、再度その数字を確認すると。体がどんどん熱くなり、心臓の鼓動が早くなり、脳がエンドルフィンを大量放出していた。 「おおおおおおお、おっさんおっさん!!1等!!1等!!!」 「おおおお!!!ついに引いたか!!!おめでとうございまあああああああす!!!!!」 店主は鈴を大音量で鳴らしまくった。途中で、通行人が足を止めたりして、何が起こっているのかを見ていたが、 ゆっくりクジだということに気づくと、すぐに興味をなくした。一般人にとってのゆっくりなどそういうものだ。 「で、で、で、で!!!1等は!!1等はどんな景品なの!?」 「はっはっは、あわてるな兄ちゃん!!いまだしてやるからな!!」 店主がごそごそと動いているのをみて、俺は想像した。 1等だからゴールドバッジかな・・・、頭のいいぱちゅりーなのか、猫みたいにかわいいちぇんか、大量に潰したが、れいむやまりさかもしれない。 もしかしたら、きめぇ丸なのかな・・・。 今陳列されているのは、大半が通常種だ。だから通常種だろうと俺は思っていた、だが・・・ 「おめでとう!!1等希少種のゆっくりゆかりんです!!!」 「うわあああああああああああああああああああ!!!まじでぇぇぇぇえええええ!!!!」 予想を超えていた。こういった屋台の商品はあまりいいものが無いと期待していたが、まさかこのようなものが出てくるとは。 喜びと驚きのあまり大声をだしてしまった。そのゆかりんには金に輝くバッジがついていた。これもまたうれしかった。 「ゆっかりしてくださいね!!」 俺はそのゆかりんを大事に抱えて、店主に礼をいい意気揚々と帰っていった。 そのあと、俺とゆかりんはとても楽しく過ごした。学生の俺はゆかりんというとても素晴らしい話し相手のお陰で、めきめき勉学に励み、 いい成績を収めることができた。悲しいことがあっても、ゆかりんが慰めてくれるのはうれしかった。 ゆっくりに興味などわかなかったが、あのゆっくりクジをしていた店主と、そこの景品のゲスゆっくりと出会ってから、 俺はゆっくりに興味を持ち始めた。今ではゆかりんと楽しくゲスを制裁している。虐待って面白いな。 もっと楽しく虐待するために、虐待連盟というのがあるから、所属申請してみようかな。 今楽しく過ごしているのも、あの祭りのお陰だ。今でも祭りがあると、ゆかりんを連れて遊びにいっている。 やはりお祭りは楽しいな。 見事1等を当て、景品の金バッジゆかりんを持ち帰った兄ちゃんを見送った店主は、店じまいをした後タバコをふかした。 「ふぃーっ、今年もいい潰しっぷりが見れたな。これだ、これだよ、これが俺が見たかったものだったんだ」 元は虐待お兄さんとして活躍しているが、最近の虐待ではどうも今ひとつに感じていた。 いつも同じようなことをしているような気がして、マンネリ感がぬぐえなかったのだ。 そこで、考えたのだ。ゆっくりに対して何も思っていない人が、ゆっくりの高慢に怒り潰すのは面白いのではないか?と。 それを何年も前から今までやってきた。結果、自分が虐待するよりも面白いものが見れた。 ゆっくりが死ぬザマを見るのも楽しいが、ゆっくりを潰している人の顔を見るのも楽しかった。さまざまな表情が見れてよかった。 今年は大収穫だ、あの兄ちゃんは実にスカッとする潰しっぷりと、いい表情をしてくれた。実に面白かった。 それに、このクジでゆっくりを大量に潰した人は、後々虐待連盟に顔を出すことが多々あった。きっとあの兄ちゃんも顔を出すだろう。 その時は、なんて顔して会えばいいだろうか。あの兄ちゃんに、俺の持てる虐待の全てを教えたら、どんな風に化けるか。 そう考えると、わくわくしてきた。 これだから、祭りはやめられない。 あとがき 最近近所で祭りがあって、スピードクジに大金出して見事敗北しました。 悔しい!!でもやめられないっ!! byロベルト? このSSに感想をつける
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ゆっくり教 3KB 注意 ※地方によって著しく生態が違うゆっくり(場所によっては何も食わなくても平気で生きられるゆっくりが居る事もある)が居る世界の話です 19××年。 ゆっくりが何処からともなく世界に現れ、人々を困惑させた時期。 「これで金儲けできるんじゃね?」 一人の若者がそう考え、その考えを実行に移した。 『ゆっくりは神の御使いであり、ゆっくりが目で見た物、耳で聞いた事の全てが神に伝わっています』 ゆっくり教なる新興宗教が日本の何処かで出来上がった。 聖書をパク……若者なりの解釈をして、ゆっくりを混ぜ込んだ奇怪極まる宗教。 そのパク……引用して作り上げられた、ゆっくり教の有名な言葉を一つ挙げよう。 『ゆっくりに見せるために、ゆっくりに善行をするよう気をつけなさい。そうでないと、天に居られる我等が神から、報いが受けられません』 ゆっくりをゆっくりさせれば死後に天国に行ける、との因果関係が不可解な教え。 だがこれが流行した?何故か? まだ世間によく知られていない摩訶不思議なゆっくりの生態に加え、日本に終末論が流行っていた事もあったのか? 熱病に冒されたように、ゆっくり教は信徒を増やした。 …………………… 何処かの街にある一つの建物。 ゆっくり教団が構えている教会の一つである。 外から見える部分は簡素で、中から見える所も簡素、取り柄と言えば大きさだけな建物。 中では一人の男性信者が数匹のゆっくりに供物捧げていた。 「そろそろ時間ですね、ゆっくり様。お受け取りください」 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~」 男性信者のゆっくりに対する供物は、ゆっくり教が教える基本的な善行の一つだ。 供物を与えられ、笑顔で食べるゆっくりと、それを笑顔で見る信者。 そこに…… 「ゆはぁゆはぁ…ここがゆっくりきょうかいだね」 「ゆへぇゆへぇ…ここならゆっくりできそうだよ!」 れいむとまりさが現れた。 ゆっくりにしては辛い長旅だったのだろう。息を荒げて疲労困憊の様子である。 ゆっくり教を聞いてやって来たゆっくりなのだろう。 荒げていた息を落ち着けると、信者の目の前にぽよんぽよん跳ねて来た。 「これはこれは…ゆっくり様、遠くからお出で頂……!?」 にこやかに対応しようとした信者の顔が凍り付いた。 原因はまりさの帽子から現れた子ゆっくり達である。 「れいみゅおにゃかすいちゃよ」「おにいしゃんのおうちにもどらにゃいの?」 「いまからあまあまをもらうからなかないでね」 あまあまをもらうと聞いて、表情を更に険しくする信者。 それに気付かぬ母れいむは、愚図る子ゆっくりに優しく語り掛ける。 父まりさは安心させるように子ゆっくりの顔を舐めようとして――― 「なかないでねおぢ!!!???」 信者に踏まれた。 強烈なストンピングに内容物の半分が噴出。床に盛大に餡子を散らしながら絶命。 突然のあんまりにもあんまりな攻撃に、母れいむが絶叫しようとした所を。 「悪魔め!この世から去れ!」 激した信者の言葉と共に踏まれ、父まりさの後を追う事となった。 「ぴゃぴゅ!?」「れいみゅぴゃ!!?」 最後に何かいえた子ゆっくりも親と一緒に床の餡子になった。 「ゆっくり達を真似た悪魔め!地獄で永劫の苦しみを味わえ!」 床に転がる餡子の残骸に吐き捨てると、信者はモップとバケツを取りに行くためその場を去った。 …………………… 来るゆっくりは全て拒まず受け入れる。 それがゆっくり教会だが、例外もあり…… ゆっくり教では、子を産むゆっくりの存在を認めていない。 ゆっくり教の教えでは、神が遣わしたゆっくり達は単体で完結しており、増える事が無ければ減る事も無い。 それに、人間の行いを見て聞くだけのゆっくりは、人間に向かって何かを要求する事も無いのだ。 それから外れたゆっくり達は、ゆっくり教の中では悪魔として定められている。 「ゆっくりを騙り人間を堕落させる存在」 あのゆっくり親子は、その例外だったのだ。 ―――――――― 信者はゆっくりが売られているペットショップを、世界中に悪魔をばら撒いてる所だと認識。 ペットショップにペンキをぶちまける過激派もいるそうな。 前作 『ふたば系ゆっくりいじめ 84 暇人二人の旅行』 『ふたば系ゆっくりいじめ 79 暇人二人のゆっくりいじめ』 『ふたば系ゆっくりいじめ 64 酷い暇潰し』 【ふたば系ゆっくりいじめ 58 ドスまりさがぶっ殺される話】 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 原始ゆっくりが居るのか!? だったら崇拝者がいるのも分かるなww -- 2018-01-24 14 17 14 なかなかイイ新興宗教だww -- 2014-03-18 18 28 25 こいつら迷惑な集団だな -- 2012-12-12 21 44 55 ある意味すげぇwwwww -- 2011-12-23 10 13 46 すごい世界だな -- 2011-05-28 15 13 59
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※虐め成分はかなり薄くなってしまいました、人間のおっさんメインです ゆっくり和三盆 数年前、ここ幻想郷にゆっくりなるしゃべる饅頭のようなものが現れた。 動物か植物か、あるいは生物かすら怪しいそんな奇妙な存在。 人間はそんな彼女達を最初は疑問に、あるいは恐怖に感じていたが今ではそんなこともなくなってしまった。 あるものは農業や日々の作業を手伝い、人間と友好的な関係を築いた。 あるものは人間の家や田畑を襲撃し、そのため人間に駆逐されるような敵対関係を築いた。 あるものは食料や労働力を目的とし捕獲され、一方的な搾取を行われる支配関係を築いた。 その形は様々であるがゆっくり達は人間社会に浸透してゆき、その結果人々の生活は概ね豊かになっていった。 これは、そんな彼らと正面から向き合うある真摯な1人の男の物語である・・・ 「実録、ゆっくりにみる! ~ある伝統工芸者の挑戦~」 砂糖職人の朝は早い・・・ まだ日も上がらぬ暗いうちから男は床を立つ。 彼は砂糖職人「鬼井 三郎さん」54歳である。 砂糖職人とはその名の通り、日々砂糖を作ることを生業にしている。 だが勘違いしないで欲しい。砂糖を作ると言ってもその仕事は多種多様で実に複雑である。 中でもこの鬼井さんは特に技術を必要とされる和菓子専用の高級砂糖、「和三盆」の作り手なのだ。 それでは実際にその作業を見ていこう。 「おはよう、ゆっくりしていってね!」 「ゆゆ!ここからゆっくりだしてね!」 「はやくださないとひどいんだぜ!いまならゆるしてやるんだぜ!」 作業場に着いた鬼井さんは籠に閉じ込められているゆっくり達に挨拶をする。 籠に入れられているゆっくりはれいむ種とまりさ種、この2種の餡子が砂糖の精製に最も適しているらしい。 「まずは朝の挨拶からはじめるんです、これでゆっくり達の健康状態を確認するんです。」 「素材のゆっくりが元気でないと、砂糖も元気になりませんからね。」 そう言って鬼井さんは微笑む。 そうして次に数匹のゆっくり掴み出し、おもむろに彼女達の装飾品を外し始めた。 「ゆぅ!? れいむのおりぼんとらないでね!??」 「じじぃ!! まりさのぼうしとっととかえすんだぜぇぇぇ!!!」 この際ゆっくり達から容赦なく暴言が降りかかる。だが鬼井さんは涼しい顔で作業を進める。 「いつ何時も平常心、心の乱れは砂糖にも現れますか。」 そう語る鬼井さんの顔はにこやかだ、だがその目は鋭く研ぎ澄まされさながら業物の日本刀の様である。 そうして飾りを外したゆっくりを片手で固定しつつ、開いた手にナイフのようなものを用意する。 その外観はやや肉厚な剃刀と言ったところか、長い付き合いなのか年季を感じるがその刃は美しく輝いている。 「こいつが気になりますか? 私達はナガタって呼んでます。長い付き合いですから、道具というより腕の一部ですね。」 そう語ると静かにゆっくりの頭にナガタを走らせる。 音も無く刃が過ぎるたびにゆっくりが不思議そうな顔をする。 そして、鬼井さんが手を止めナガタの柄で軽くゆっくりをこずく。 「ゆ”!?」 その瞬間、さながら滝の様にゆっくりの頭から髪の毛が流れ落ちた。 剃られたまりさは目を見開き固まってしまっている、だがそれも仕方無いだろう。 何せ取材陣ですらその光景が理解出来なかったのだ。 そして、もしその光景を一言で述べるなら只美しいとしか言えない。 流れ落ちる髪は、さながらイチョウ舞う晩秋の滝と言ったところか。 穢れを知らない清流を、美しくイチョウが飾りそして滝壺へと還っていく。そんな情景を思い浮かべて欲しい。 飾りを取られた他のゆっくり達も静まり帰っている。無論恐怖からではなく純粋に魅入っているのだ。 鬼井さんに頼んで剃られたまりさを見せて頂いたところ、毛はもちろん毛根まで溶かし尽くしたような美しさであった。 撫でてみたところ、まるでもとから何も無いような、もちもち且つスベスベな肌触りであった。 その後、残りのゆっくりも全て髪を剃り落としたところで作業は次の工程に入る。 髪の無くなったハゲゆっくり、それらを詰めた籠を持って来たのは大きな水槽である。 そして、数匹ずつハゲゆっくりを麻袋に詰め込みそれをおもむろに水に沈めた。 「ゆぎぃぃぃ!! つめたいいぃぃぃ!!!」 「あぶぶぶ、とけぢゃうぅぅぅ!!?」 袋からは叫びが聞こえていたが完全に水に漬かるとそれも無くなった。 「ここでゆっくりに水を含ませ、糖分を分離させやすくするんですね。」 「この水は山から引いた湧水です。手間はかかりましたが良い水を使わないと雑味が入りますから。」 そういって水を一杯差し出した。コレを頂いてみたところ、まるで山が体に広がってゆくような感覚を覚えた。 「飲んでもおいしいでしょ? 私も作業の傍ら飲むんです。これがこの仕事の楽しみの1つでもありますね。」 「それに湧水は年間通して温度が一定なんです。夏は冷たく冬暖かく、これも砂糖作りの秘訣ですかね。」 このゆっくり達は午後の休憩明けまで漬からせておくらしい。 その間別の作業を行うというので、私達はつかの間の休憩を終え移動を開始した。 そうして来たのは何やら重石の積み重なる部屋であった。 そこで鬼井さんが重石をどかすと、そこから麻袋が現れた。 そして袋に手を突っ込んで何やら黒いものを取り出した。 「これが2日目のものです。」 2日目? 何のことかと私達が疑問を顔にすると 「ああすいません、実はこれゆっくりなんですよ。」 と鬼井さんは笑いながら説明してくれた。 作業工程が前後してしまうから解りにくくて申し訳ないが・・・そう鬼井さんは話はじめた。 「水に漬けたゆっくりに、これから行う作業をするとこのようになるんですよ。」 そういいながらその黒いゆっくり流水に晒す。 そうするとベロベロに伸びきったゆっくりが顔を現した。 そしてこれを盆と呼ばれる大きな台座に乗せておもむろにこねはじめたのだ。 「これがいわゆる『こね』と呼ばれる作業です、これを3度盆の上で行うことから和三盆の名が来ているんですよ。」 いいながら鬼井さんは全身の体重をかけて、ゆっくりをほぐしてゆく。 「中の餡子が均等になるよう丁寧にこねます、ただこの時皮が破れないよう注意が必要です。」 ゆっくりの皮はとても破れやすい、私達がコツは何かと訪ねたところ『こればかりは経験です』ど笑っていた。 そんな作業を見つめる中、私達はあることに気付いた。 なんとゆっくりが生きているのだ!! これだけこねられて潰されても生きている!! 一体どういうことなのだ!? 「ゆっくりは餡子が無くならない限り死なないですからね、上手く扱ってやればこれくらいは平気です。」 「それにゆっくりの餡子は恐怖や痛みを感じるほどに旨さがますんです、よって最後の仕上げまでは心も体も殺しません。」 何でも無い事と鬼井さんは語るが、そこには熟練した神業が伺える。 私達がこれを行うならものの数秒でダメにしてしまうだろう、これが匠の技なのか。 よくよく注意してみると全てのゆっくりが微かに震え、また声を発しているのがわかる。 「やべ・・・・で・・・・」 「ころ・・・・・せ・・・」 どうやら精神においても正気を保っているようだ、流石としか言いようがない。 全てをこね終えた鬼井さんはこれを麻袋へ戻す。 そしてこれを来た時と同じように台座にセットし、その上に重石を乗せた。 「ゆべぇっ・・・」 微かに声が聞こえた。 それを聞いた鬼井さんは満足そうだ。 「こうしてこの作業を5回、つまり5日かけて行うんです。」 「本来トウキビから作る場合は3度でも充分ですが、何分ゆっくりは餡子ですから雑味が多くてね。」 そして鬼井さんは昔の話をしてくれた・・・ 私もゆっくりが現れる数年前までは、トウキビから砂糖を作っていたんですよ。 だがゆっくりが現れた翌年、トウキビ畑がゆっくりの襲撃を受けてしまいまして大不作になってしまったんですよ。 あの時は砂糖が作れなくなって本当に困ってしまいましたよ、ええ。 何が困ったって私の生活もそうですが、皆が菓子を食べられなくなってしまったんです。 私はこの仕事に誇りを持っています、皆が嬉しそうにお菓子を食べている顔を見るのが堪らなく好きなのです。 そこで、わたしはゆっくりを用いた砂糖づくりの研究を重ねたのです。 そして半年後、試行錯誤を繰り返し今の形に至ったわけです。 もっとも、その時は落ち着いたらゆっくりからトウキビでの砂糖作りに戻るつもりでしたがね。 ゆっくりの出現によって甘味が増えたため、トウキビを作る農家さんが減っちゃってね。今ではこっちがメインですよ。 あっはっはと豪快に笑う鬼井さん。 ゆっくりは恨んでいません、むしろ感謝していますよ、彼らのおかげで高価だった甘味が庶民的なものになりましたから。 多くの人々が喜んでくれる、それだけで私は幸せですよ。自分で言ってなんですが、臭い話ですけどね。 私は加工所が出来た頃、この砂糖の精製方を持ち込んだんです。これでより多くの人が手に入れやすくなると。 ただ、加工所ほど大きなところでは作業効率を重視されており、機械化されている部分も多いんです。 それは決して悪いことではありません、しかし和菓子に使うような繊細な砂糖はどうしても出来なかったんですよ。 そこで私は三度、和三盆作りに戻ることになったんですね。 砂糖について語る鬼井さんは実に生き生きとしている。 作業中の鋭い目も、この時ばかりは夢を語る無邪気な少年のようだ。 そうして加工所における上白糖や三温糖、私達のような小規模な工房での専門糖作りに分類されるシステムが出来上がったんです。 おや、長々と話してしまいましたね。年を取るとどうもね。いやいやすみません。 苦笑しながら謝罪する鬼井さんに、こちらこそ貴重な話を有難うございますと営業抜きの純粋な笑みを返した。 ここで、いい時間ですからと一旦昼休憩を取ることにした。 昼休憩の後、作業は再開された。 まずは朝漬け込んだゆっくりに「こね」を行ってゆく。朝見た2日目のものより元気があり、また形もゆっくりらしい。 それが終わると3~4日後のものまで、同じ工程を繰り返した。 3日目のものに取り掛かる際あることに気付き鬼井さんに尋ねてみる。 「いいところに気付きましたね、ゆっくり達が白くなっているでしょう?」 そうなのだ、心なしかゆっくりが白くなっているのだ。 「さっき重石をかけた時、袋が黒くなっていたのを覚えてますか?」 「餡子を均等に伸ばした後、重石をかける事により雑味を含んだ余分な糖分を搾り出すんです。」 なるほど、そのためゆっくり達が白くなっているのか。 ちなみに絞られた糖蜜(黒い汁)は、飼料用として加工所が回収に来るらしい。実に無駄のないことである。 作業を繰り返すこと数時間、今日の仕事もついに最終工程へと入った。 最後に手をつけるのは5日目のゆっくり、最終日とあってその肌はかなり白い。 このゆっくりを濯いだあと盆にのせる。ここまでは変わりないのだが、盆に上げてから何やら今までと違うのだ。 こねてはいるのだが此処までの工程と若干手つきが違う。 今までは均等に餡子を伸ばしていたのだが、今回はまるで中央に集めているような・・・。 そんなことを考えていると、鬼井さんは突如ゆっくりを掴みあげ傍らの器にゆっくりを向けたではないか。 「せいやっ!!」 「ゆかっ!?」 そして鬼井さんはゆっくりの背を人差し指と中指で押した。 すると次の瞬間ゆっくりは口から何やら吐き出し、完全に動かなくなってしまった。 ここにおいてようやく絶命したらしい。 「・・・ふぅ、これで完成です。」 器の中を見せてもらうと、中には少量の雪のように白い粉が入っていた。 「これが『ゆっくり和三盆』です、よろしければ味見してみますか?」 私達は鬼井さんの行為に甘えさせていただき、ゆっくり和三盆を口にした。 それはもはや砂糖ではなかった。口に入れてすぐは、正直甘さを感じず物足りないとさえ思った。 だが次の瞬間、舌の上から突如として和三盆が消えたのだ! 溶けたのではなく消えた、生まれて始めての経験であった。 そして同時に口内全体に広がる優しく暖かな甘み。何とも淡く上品である。 それは口から鼻、喉、腹へとサァーっと広がってゆき、そしてスゥっと消えていった。 言われなければとても砂糖だと気付かないだろう。 「和三盆は癖がなく甘さも控えめなので、そのままでも充分食べられるでしょう?」 ふと鬼井さんの声で我に帰る、思わず放心してしまったらしい。 「和三盆は粉末での販売もしていますが、型に入れて押し固めた固形の物も作っているんです。いわゆる落雁(らくがん)ですね。」 いかんいかんと気を取り直す。しかし驚いた、まさか砂糖で放心する日が来るとは思っていなかったのだ。 それほどまでに和三盆の味は衝撃的であった。 そうして、ひとしきり説明してくれた鬼井さんは残りのゆっくりから和三盆を取り出していった。 「これで今日の仕事は終いです、出来上がった和三盆や糖蜜、残った皮なんかは5時ごろに業者が取りにくるんですよ。」 そう言う傍から業者がやってきた、どうやら大型のちぇん種を用いた『ゆっくり車』により運搬を行っているようだ。 「さて、一日の仕事を見ていただいていかがだったでしょうか。記事になるに値すればいいんですがね。」 私達は心からのお礼を述べた。 「ははは、有難うございます。そう言って頂けると疲労も報われます。」 「何せ私も年ですから、結構きついんですよ。」 笑う鬼井さんの姿は疲れなど感じさせないが、体力を使う仕事のため実際いつまで続けられるものか難しいのだろう。 「私には2人せがれがおりまして、1人は菓子職人を、もう1人は加工所職員をやっているんです。」 「家内が早くに亡くなりましてね、男手一つで育てのは良かったんですが、どうも多少ひねくれたようでして。」 鬼井さんはやや自傷気味に笑う。私が何と答えようか言葉を選んでいると 「だが最近は私の仕事に興味を持ち始めてくれましてね、加工所の方のせがれが近々帰ってくることになったんですよ。」 「菓子屋のほうのも、流通や経営、あるいは現場の声なんかを聞かせてくれるんでかなり助けられています。」 一転して笑顔を見せてくれた。 私達も思わず笑顔が溢れた、この一家がいる限りこれからも砂糖業界は安泰だろう。 「最後にいいですか?もしこの記事をみて砂糖に興味を持たれた方が居ましたら内へいらしてください。」 「どんなに些細なことでも構いません、修行をしたいという方も歓迎します。」 「砂糖は身近な物ですし、甘いものが嫌いな方も多いでしょう。ですがこの機会に深く考えてみてください。」 鬼井さんはそれを伝えると頷いた、そして私も頷き返した。 私は改めて鬼井さんと握手した、だが今度は温もりだけでなく、職人としての力強さも感じとれた。 鬼井さんは今日も暗いうちから床を出て砂糖作りに励む。 目的は多くの人に甘味の幸せを感じ、ゆっくりして欲しいから。 砂糖職人の朝は早い。 終われ 作・ムクドリの人 これまでのSS ゆっくりディグダグ ゆっくりディグダグⅡ みかん キャベツ このSSに感想を付ける